「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」感想。前半は良いけど後半が…

2019年4月8日

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出典:http://moon0201.blog32.fc2.com/
 

前記事「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」感想の続きです。

シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想。
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」。2001年12月公開。

個人的評価:65点

予告

 

監督が平成ガメラシリーズの金子修介さんということで当時リアルタイムで見に行っていました。平成ガメラシリーズは見ていて面白かったですね。

今作はゴジラが悪役として目が白くて怖く、これまでと違い、直接的に人が死ぬ描写が多い恐怖がウリと言われていました。
 

で、さて、内容はほとんど忘れてしまっていたのですが、改めて見直してみました。

前2作の続きと比べると非常に良くできていますね。
設定、脚本、撮影、演出、見せ方など総合的にさすがです。

でも単体として改めて見てみると、気になるところや、内容を忘れてしまっていた理由も納得できました。

世界観について

今作は初代ゴジラの後の話です。その間のゴジラの話はなかった設定になります。その辺りの世界観構築は上手いです。

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今作で登場する怪獣は護国聖獣として、古代王朝の元になった狛犬や鳳凰、ヤマタノオロチの元になった怪獣、バラゴン(婆羅護吽)、モスラ(最珠羅)、ギドラ(魏怒羅)となっています。
日本の守り神(ただし人間じゃなく自然への)として怪獣の存在意義やリアリティを高めています。

ただ、平成ガメラを見た後だと、やってることが同じだなぁとリアルタイムでも感じてしまいましたね^^; ガメラは四神の玄武という設定でしたので。

今作のゴジラは作中では名言されていませんが、太平洋戦争で死んだ人の怨念集合体であり、だから日本の東京に向かうこととされています。

設定は良く考えられていると思います。

脚本について

シン・ゴジラを見た後だとハッキリ分かったことがあります。

ゴジラに家族愛や恋愛ドラマはいらないのだと。

主人公、立花由里(新山千春さん)はサバサバしたマイナー放送局のリポーター。準主役のその父親の立花泰三は防衛軍の准将。

それぞれ2つの視点で、話が交錯しつつ、最後は繋がる=親子が分かり合うといったものです。作りは上手いと思います。

でもゴジラ映画として見てみると面白くないんですよね、これが^^;

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怪獣が何体も現れ、市民は避難したり死んだりしてるのに、マイナーテレビの女性リポーターが命を賭して一人現場に向かって報道するというのがリアリティを感じられませんでした…。普通に考えればかえって自衛隊の邪魔なだけです。

何故そこまでして報道するのかその理由や描写がもっと欲しかったですね。その辺は尺の問題などあるんでしょうけど…。

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そして同行する男性も知らずうちに由里に「君だけは守ってみせる」と言う恋愛展開。作中そこまで恋愛模様は描かれているようには見えず、いきなりなのでしらけてしまいました…。

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父親の泰三は、軍人だから仕事としてゴジラ討伐をこなしているのは理解できるのですが、終盤由里の「仕事だから報道させてほしい」という説得に応じるのは理解できませんでした…。

映画としては親子が理解り合う名シーンなんでしょうけど、どうも由里のそこまで命を賭してまでの報道したい意志を感じ取れなかったのです。

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また、ラストで泰三が潜水艇でゴジラに飲みこまれ、内部から推進式削岩弾D-03(要はミサイル)でゴジラを攻撃して倒し、生きて生還して戻ってくる様は、よくある洋画や邦画、アニメのシーンの展開そのまんまで醒めてしまいました…。

こういった家族愛、恋愛といった人間ドラマは、シンゴジラで庵野監督も言っていましたが、プロデューサーの意向なんでしょうかね…。

ゴジラにこういったヒロイズムな人間ドラマは全然合わないと改めて思いました。

脚本構成について

とは言え、物語前半、ゴジラ対バラゴンまでは面白いんです。

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OPはの三大怪獣 地球最大の決戦のリスペクト。
怪獣皮膚などのアップをバックにスタッフクレジットが縦書き。

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ハリウッド版ゴジラ(エメゴジ。トカゲの方)は”日本は認めていない”というメタ発言。
 

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ゴジラが初めて熱線を吐くときの演出。
熱線そのものは見せず、光った描写から原爆のキノコ雲の図。
 

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スーパーや学校など至るところで、住民の親近感を与えた避難描写。
ゴジラ視点で写したり、今作のゴジラが怖いと描かれています。
 

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箱根でゴジラが顔を見せるときは初代ゴジラ初登場のオマージュかな。
 

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圧倒的にゴジラが強くてバラゴンが可哀想に思えたりと。
 

でもそれ以降、後半の話が、上にも書いたようなヒューマンドラマ部分だったりご都合主義な展開なんですよね。怪獣同士の対決も結局護国聖獣3体はゴジラに倒されますが、その後、魂みたいな存在が現れてアタック攻撃します…。うーん、アニメとかでよくありますよね…^^;

怪獣同士の戦いもバラゴン戦に比べて、パワーが落ちている気がします。見せ方は上手いんですけど。

うーん、前半は力が入っているけど、制作陣のパワーが落ちたんでしょうかね…。

細かいところ

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こういった昭和ゴジラや原爆に関する描写がイイです。でもちょっとあざといかもw
 

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今見ると避難描写が東日本大震災を思い返されました。
 

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ゴジラはやっぱり強い。熱線がシンゴジみたいなプロトンビームみたいな感じ。
 

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ゴジラが人間ライクで狙った感ありますが、見せ方がカッコイイ。
 

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モスラが羽化するシーンはシリーズ初では? CG臭が仕方ないですがw
 

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背後から襲うモスラに振り向き熱線。ゴジラの強さが半端ないですw でもゴジラ映画ならゴジラの強さをこれくらいやってほしいですよねw
 

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ギドラがキングギドラに! うーん、2枚の大きな羽のこの演出。エヴァですねw
 

チョイ役で良かったところ

ゴジラ好きの俳優がチョイ役出たりしますが、あまりにそういったチョイ役が多いのは冷めて見えてしまいました。でもその中で良かったのを抜粋。

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トイレ中の温水さん。これは笑いました。
 

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篠原ともえさんだそうです。気付かなかったー。美人になりましたよね。
 

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モスラ登場時の前田愛さん、前田亜季さん。
ガメラファンへのサービスですねw 小美人オマージュのように二人登場させるところも良かったです。前田愛ちゃん可愛いよ!
 

ゴジラに関しては、初代ゴジラをモデルにしたような顔でもあり、白目で恐そうにしてるのですが、全身で見ると頭デッカチでカッコ悪く見えてしまいました。自分としては頭はもうちょっと小さいほうがより恐怖感も出たと思うので、それがもったいなかったですね。

総評・まとめ

良く出来ているのですが…うーん、子供向けの作品という印象でしょうかね。
でも三大怪獣の現代版リメイクがコンセプトであるのならば、それはそれでアリなのかなぁとも感じます。

ゴジラの恐怖さが描かれていますが、リアリティに欠けるせいか、恐怖がそこまで感じられない印象もしました。ゴジラという空想の生き物だからこそ、人間と相対するゴジラの接点部分はとことんリアリティを突き詰めないといけないんでしょうね。そしてそれが体現されていたのがシン・ゴジラだったと思います。

人間ドラマは、よくある映画、アニメのパターンなのでゴジラ映画という感じがしないのですが、子供からすると楽しめるような展開かもしれません。

なお、自分がリアルタイムで見てもその内容を覚えてなかったのは、よくあるパターン、キレイにまとめすぎというのがあったからと思います。

シン・ゴジラのリアリティや恐怖感が面白いと思った人にはちょっとオススメはできないかなぁと思います。

非常に良く出来てる映画なんですけど、やはり絵空事、ご都合主義な映画やアニメを見ているといった印象です。子供やそれが楽しめる人、または強いゴジラを見たい人にはオススメだと思います。

ヒロイックな人間ドラマを排除した作品であれば、シン・ゴジラのように大人でも楽しめた作品かもしれなく、自分はそれを見てみたかったとも思ったのでした。
 

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