ファミコン探偵倶楽部 笑み男 感想レビュー。賛否両論はやっぱり?【ネタバレあり】

2024年9月11日

「ファミコン探偵倶楽部 笑み男」をクリアしての感想・レビューです。
⚠️ネタバレあるのでご注意ください。⚠️
 

ファミ探ファンなので、迷わず、発表された日にニンテンドーストアでファミコン探偵俱楽部 笑み男 COLLECTOR’S EDITIONを予約しました。


 

そして私はファミ探が好きで、ファミコン版、スーファミ版もリアルタイムでプレイしていました。
(残念ながらサテラビューを買えなかったのでBS探偵倶楽部は未プレイ)。
Switch版リメイク、消えた後継者・うしろに立つ少女も発売日に限定版を購入しました。
↓その感想・レビューも書いています。

良リメイク。感想「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 うしろに立つ少女」他、限定版について【Switch】


 

他、私は多少ですが推理・サスペンス小説も読んでいたり、他アドベンチャー・サウンドノベルゲームも好きでプレイしていました。

それを前提に感想・レビューを書いていこうと思います。
 

発売前の印象

まず、任天堂で「笑み男」の動画が公開されたとき、まさかこれがファミ探新作とは思いませんでしたよね。
どれだけの方がファミ探新作と予想できたのでしょうかw


 

プロデューサー坂本賀勇さんのインタビュー


 

そしてプロデューサー坂本さんのインタビューです。
今作の気になるポイントは
・都市伝説の背景をしっかり描くことで、事件の見え方が異なる
・結末は賛否両論あるかもしれない

とのことでした。
 

私は以前のSwitch版リメイクの感想でも書きましたが、今はYouTubeなどの動画配信の時代です。
実況動画やVtuberが人気です。
なので、アドベンチャーゲームは余計に配信の煽りがあり、ゲームを買わずとも動画視聴で済んでしまいます。
だからこそ、私は任天堂が敢えてこの時代にアドベンチャーゲーム・ファミ探を出す意義を期待していました。
 


 

そして、今作ではゲーム発売前に3章まで時限的に体験版としてプレイできました。
こういう盛り上げ方は良いですね。
 

↓体験版をプレイしての推理・妄想です。


 

任天堂公式サイトの「開発者に訊きました」


出典:https://www.nintendo.com/jp/interview/a7lqa/index.html

今作では坂本さんの他に宮地さんというアシスタントプロデューサーの方が、共同してプロットから脚本を描いているとのことです。
 

感想・レビュー

開発者が言う結末の賛否両論について

まずはファミ探ファンとして、新作がプレイでき嬉しく思いました。
前情報から、今作は「都市伝説の見え方が異なる」「ラストに賛否両論」あるということを意識してプレイしました。

クリアすると、その後、本編とは別エピソードの「深層編」として空木が笑み男の元となった入雲村〜都築のエピソード、そして約20分程のアニメが展開されます。

「ラストに賛否両論」あるというのはおそらく、
・殺人犯の描き方が任天堂にしては攻めたセンシティブ、凄惨・悲痛な内容で、そうした犯罪者に対して同情の余地など、どう思うかという問いかけ
・アニメーションでの表現

のことを指しているのでしょうか。

個人的にこの手法自体は”プレイ直後だったので「アリ」かな”と感じました(ただし後述あり)。
空木もこれまでのシリーズであまり活躍していなかったので、彼の捜査から描かれるエピソードとして良かったですね。
アニメーション表現は、あくまで空木の推察した話(ほぼ事実)ということもあり、これまでのゲーム展開というより、第三者的な目線でアニメ表現にしたのかなと思いました(と思いたいです)。

最初クリアしたときは、ラストの演出やこの真相が語られることで「犯罪者を擁護はできないが、辛い人生が原因であった」と解釈でき、「なるほど」と思いました。
プロデューサーの坂本さんはこの点を描きたい、ユーザーに問いかけしたかったのでしょう。
 

良かったところ

まず良かったところを挙げていきます。

グラフィック・演出が前作のリメイク版よりパワーアップしていて良かったですね。
前作からLive2Dと思わしきアニメーションを使用していましたが、今作ではそれが更にこなれていて、ちょっとした動作などの表現が「おおっ」と感じました。
特にちょっとした動作、手を振ったりなど色んな動作が芸コマになっていますね。
グラフィックとして、キャラクターの服装も日によって変わっていたりとこだわりを感じました。

事務所にて章の最後で、あゆみちゃん、空木と推理するやり取り、本編でもメモ帳を使用しての推理、考えさせる要素も良かったです。
また、時折「名前や単語を入力させる」のも良いですね。

小ネタ、携帯電話などでのお遊び、過去作ファンとして嬉しい表現などもありました。
ただし、過去作をプレイしていないと、いきなり「佐和子さん」など過去作の人名・単語を言われても、「全然分からず何のことだろう? 今作と関係あるのかな?」と思う人もいそうです。
なので、このあたりはもうちょっと説明的なフォロー(メモ帳におまけ記載)があっても良かったようにも感じました。

■携帯電話のお遊びは芸コマで面白かったですね。
過去作の神田事務所「※16」、サンボラの「007-1234」にかけるのはお約束としても、それ以外に全く関係ない場面で事務所に電話して留守番電話をしてモノマネ、その後、事務所で怒られるなどのギャグは面白かったです。

余談ですが、舞台は1990年でしょうね。
1988年がファミ探1発売=当時の時代設定、笑み男はその2年後なので(多少誤差はあるかもしれないです)。

調べると、1990年の携帯電話は確かにこのくらいの大きさ・形状だったようです。
NTTのムーバの時代ですね。

当時、携帯電話は今ほど一般家庭に普及しておらず、富裕層や警察などが所持していた時期かと思います。
なので、作中として警察や探偵事務所が携帯を取り入れても不自然はないですね。

ファミコン探偵倶楽部の笑み男は1990年頃=昭和…いえ、平成に入ったばかりの舞台の話ですが、今のこの令和の時代、いつまでも携帯電話なしのアドベンチャーゲームのやり取りは「プレイヤーとしては昔過ぎる」と思うので、携帯電話を取り入れたのは良かったと思います。

ただ、携帯電話は本筋から外れたオマケの会話ネタが多く、携帯電話を使ったトリック、ギミックがなかったのは残念でした。
肝心なときは、充電切れ、圏外ばかりです。

■イラストレーターの好みなのか、あゆみちゃんや婦警さんへの描き込みに力が入っているのを感じ、可愛いかったですねw

主人子とあゆみちゃんの捜査BGMが「聞き込み:主人公」「聞き込み:あゆみ」というのは、クリア後のオマケやサントラで曲名を知り、ファミ探1の「聞き込み」という名称を持ってくるのが嬉しかったですね。

前作(リメイク版)同様、BGMも全般的に良かったですね。
特に「聞き込み:主人公」「聞き込み:あゆみ」はエンドレスで聴いていられます。

すぎやまこういちさんはゲーム音楽は「聴きべりしない音楽が大切」と言っていて、まさにこれらの曲はそうだなと思いますし、ファミ探1の「聞き込み」らしいし、昭和感あるノスタルジーな曲調も素敵です。
(素晴らしくて、前作リメイク版同様、作業用BGMも作成して公開していたのですが、9/2に任天堂の配信ガイドラインに更新があったために非公開としました)

作中では、前作「聞き込み」の切ないアレンジ、「あゆみちゃんのテーマ」(←アレンジっぽい?)も流れ、旧ファンとしては嬉しかったですね。
ただ、限定版(COLLECTOR’S EDITION)にサントラが封入されているのですが、その過去作の曲は収録されていないのが残念です。

「そういえば前作のスイッチ版リメイクはサントラが出てなかったよな…」と、前作の限定版(COLLECTOR’S EDITION)を調べたら、サントラ自体はありましたが、ファミコン・スーファミ版のサントラでした。
で、やはりリメイク版サントラはなかったです。
ゲームクリアするとおまけで聴けますけど、普段気軽に聴けないのは残念ですね。

あゆみちゃん視点でも捜査ができるのが良かったですね。
バディとして組み、空木探偵事務所全員で事件解決に挑むのは良いなと思いました。
これまでのアドベンチャーゲームでもザッピングシステムというバディを組んで、それぞれの視点で捜査を切り替えてゲームを楽しむものもありました(EVE burst errorが元祖だと思います)。
ただし、そこはただ主人公とあゆみちゃんが別に行動するだけじゃなく、ザッピングシステムのように、お互いもっとゲームギミックとして絡みがあると面白かったかなと思いました。

■都市伝説や笑み男の怖さの表現が良かったです。
インタビューであるように「血が出るようなスプラッター的な怖さ」ではなく、「精神的な恐ろしさの演出」は良かったです。
そして、笑み男の起源は、都築実が妹を思う優しさが、伝播して悪い話になっていくのはテーマとして面白く感じました。
まさしく坂本さんが言っていた通り、都市伝説は事件の背景を追うことで見え方が異なる、ということですね。

■ゲームとしては「ファミコンからの古きアドベンチャーゲームを踏襲」しているので、コマンド総当たりになります。
しかし、インタビューであるように「セリフの色を変えた強調表現」は総当たりにならず、ユーザーに次の選択を示唆してくれる配慮として良かったです。
それによって、ストレスなくプレイできますし、それが嫌な人もオプションでオフにできるのも良いですね。

■リラクス紫子村のBGMは「消えた後継者」の綾城家のBGM(バッハのインヴェンション)のリスペクトですね。


 

■深層編「ミノル」と合わさることで、タイトルロゴが笑み男の顔になる仕掛けになるのはなるほど! と思いました。

■深層編で都築実の人生が描かれ、幼い頃からDVを受ける家庭環境から妹までも失い、精神異常者になってしまう生涯を描く話は、切なくも納得、同情するべきところはありますね。
ただ、だからと言って、空木の言うように「事情はどうあれ犯した罪は到底許されるものではない」です
実際に現代の事件にも猟奇的な事件や犯罪者にも実は悲痛な過去や境遇があったりするニュースがありますよね。
同様にそれをミノル編として取り上げることで問題提起した
のだと思います。

深層編のアニメーションは迫力や演出や悲痛さが表現されていますね。
見入ってしまいます。

■細かいところで「絞殺」「扼殺(やくさつ)」の違いを明記されていたことが良かったですね。
なお、
絞殺:道具を使って絞め殺すこと
扼殺:手で絞め殺すこと
です。

これは私のリメイク版の感想記事でも書いていたのですが、うしろに立つ少女でのシーンで気になっていたのです。詳細はそちらをご覧ください。
 

■声優さんの演技、特にあゆみちゃんの皆口裕子さんボイスを聴けるだけで耳が幸せです🙏
 

良くなかったところ

非常に迷いますが、忖度なく書こうと思います。
開発の方、ファンで不快に感じる方いたらごめんなさい。
不快な思いをしたくない方は読まないでください🙏

ただ、この忖度なく書くことは、ゲームや制作者に文句をつけたいわけではなく「ファミ探シリーズ好き故の愛だからこそであり、ただの提灯記事・ヨイショ的な良い面ばかりではなく、中立的に良い面・そうでない面を率直に書きたい真摯なファンの感想」だと思ってください。
SNS上では得てして、作品の良くなかった部分の声は挙げづらいものですが、それだけファミ探が好きだからこそと、敢えて書いていることもご理解いただけると幸いです。
 

前述したようにグラフィックや演出、BGMは良かったのですが、以下大きな問題点を3つ感じました。

①設定・ストーリー・推理要素・ロジックについて整合性がない・不可解さを感じる

②本編中での盛り上がりを大きく感じられなく、急にクライマックスを迎える急展開、及び、後日談で物語のほとんどを回収

③本編中での主人公の捜査・行動であまり捜査の情報も得られず、残念ながら事件解決の協力にほとんど意味をなさない

これらは坂本さんが言うように「推理アドベンチャーゲーム」ではなく「インタラクティブドラマ」という視点で見れば納得できる部分はあると思います。

ただ、冒頭書いたように、私はこれまでアドベンチャーゲームを幾つかプレイ、推理・サスペンス小説も読んだことあることを踏まえ、ちょっと今作の設定、物語は、それらの王道やセオリーを敢えて外した変化球としても不可解、納得するのが難しく感じました。
 

①「設定・ストーリー・推理要素・ロジックについて整合性がない・不可解さを感じる」

色々あり過ぎて、何処から書いて良いか迷うのですが、設定や登場人物の行動原理が理解不能、推理・サスペンス・ミステリーモノとしての定石をまず分かった上で敢えて外したのかな? と疑問があるほど斜め上の展開に感じました。

■まず、佐々木英介は他殺ではなく結局自殺でした。
ゲーム発売前から殺人事件として、佐々木英介が他殺、笑み男の事件と関係がある「他殺」と思わせて展開していくのですが、結局は思春期における精神不安による「自殺」だったのは斜め上の展開でしたね…。
こればかりは誰もが予想できなかったのではないでしょうか。

限定版での調査ファイルの巻末で坂本さんが、「今作は推理アドベンチャーゲームではなくインタラクティブドラマ」と言っており、確かにそう考えれば、まあ言いたいことはいきますし、実は自殺を他殺に見せかけて、18年前の事件の犯人を追うという設定自体は面白いと思いました。
この他殺と見せかける点は許容範囲であり、18年前の笑み男の事件と絡めるためのドラマと考えれば面白いのですが、本編の「笑み男事件」と関係があれば良かったなと思いますし、後日談で描かれるのではなく、せめて作中で主人公が推理して突き止めるような展開があれば、まだユーザーの納得度も高かったように思います。

■一番問題なのが、久瀬純子刑事の行動です。
まず、行方不明の兄を探すために、前述の佐々木英介の自殺を他殺に見せかけました。
実家からたまたま持ってきた笑み男の紙袋を被せ、18年前の兄失踪事件と関連付けて、警察含め兄の捜索をしようと画策します。

作中でも久瀬刑事の過去は凄惨なものですが、かと言って、作中でも敏腕、自他共に厳しいと言われる真面目な刑事が、いくら行方不明の兄を探すためとは言え、ネクタイの証拠隠滅・紙袋を被せて他殺と偽装するのはさすがに物語として、容疑者ならともかく、刑事が行うことに非常識、倫理的に反し、頭が良い刑事だからこそすぐバレると思うのでやらないのでは…とミステリーとしては斜め上の予想、納得できない展開に感じました。
色々と後述もしていますが、せめてそれならば、もっと説得力のあるプロット、ストーリー、ロジック、描写をしていただきたかったです。

心臓マッサージなども試みたりしますが、明らかに素手で行っているので指紋が残ります。
ここは回想シーンで明らかに素手で行っていることが描写されていますし、紙袋にも指紋があるはずですよね。
その後警察・鑑識の結果で偽装がバレるのは間違いありません。

なので、そうしたことをは推理、予測できないので、納得いかない人が多いように思います。

▲私は素手に見えますが、皆さんいかがでしょう? 実際にバイクのグローブなどをしていたとしても、もっと分かりやすく描写する必要あったのではと思います。
 

久瀬の部屋にあったネクタイと封筒は、結局自殺を他殺に見せかけた証拠の横領品でした。
他殺と見せかけるために証拠品の横領は、一般人や容疑者ならまだしも、刑事としてはあるまじき行為なため、またしても斜め上で予想できなく感じました。
一般人どころか、ましてや刑事が警察に通報もせずにです。
中学生の自殺、更に証拠品の横領、遺書も読んでそんな行動に出ているのはあまりに酷くと感じます。

私はプレイ中、久瀬もしくは兄が中学生時代にその学校に通っていたり、または福山先生など事件の関係者がいるのかなと予想しましたが…。

本編では他殺と言われているにも関わらず、「実際は真面目な敏腕刑事による偽装だった」こればかりは予想できませんでしたね…。
推理・予想できた方、いますでしょうか…?
 

加え、久瀬が第一発見者として装って、電話で警察に通報します。
さすがに公衆電話と言えど、警察はその第一発見者を重要参考人として事情聴取するはずなのにそれもないですし、作中で主人公がその第一発見者と話をするような展開にもなりません。
警察や鑑識は一体何をしていたのでしょうか。

これらはミステリーの王道やセオリー、常識を悪い意味で外しているように感じました。
ミステリーのセオリーや常識的に、「そんなことは警察や鑑識結果ですぐ分かる」故に「私はそんなことは久瀬がそんな行動をするのはありえない」と思ってプレイしていましたし、実際にそれを知ったときは斜め上に感じました。
開発者は敢えてこうしてユーザーの予想を外してきたんでしょうけども、ミステリーいや、どんな作品にも「王道には王道故の良さ」と「その王道を外す変化球にも一定のルールが存在」があると思います。
その点は分かっていてほしかったな…と個人的に思いました。
そういった意味で、設定や物語に整合性のなさ、荒唐無稽さも感じてしまったわけです。

なお、現実世界、リアルでは、公衆電話もちゃんと電話番号を持っていて、警察などに電話すると逆探知として何処の公衆電話か分かるそうです。
なので、第一発見者の事情聴取として、匿名且つ身を隠しても、何処の公衆電話から探知して、指紋や声紋検査から第一発見者は捜索されるのでは、と思います。
1990年の時代で、どこまでそれが実現できていたかは私は分かりませんが、それ以前に「刑事が証拠品横領、他殺と見せかけ、第一発見者を装う」のはどうなんだろうと思います。
おそらく脚本としてはドラマの意外性として面白いのでそのように設定したのでしょうけど、さすがに真面目な敏腕刑事がそれを行うのは行動原理として不可解過ぎますし、すぐ捕まるのが関の山なのであり得ないと思うのでした。
 

また、作中では、めぐみが笑み男に襲われて、事情聴取を行うシーンで久瀬がをなだめるシーンがあります。
しかし、そもそもは久瀬が英介を他殺を見せかけた隠蔽工作が発端です。自分のせいでめぐみが殺されそうな目に遭ったわけなのに、一体何を考えてなだめていたのか、ちょっと正気ではない神経に思ってしまいますね…。演技だったのでしょうか。それとも自分も笑み男に襲われていたから共感していたとしても、発端が自分のせいというのを棚に置いてはいませんか…

更に、ラストでも銃で主人公を殺そうとする殺人未遂も起こします。
ラストで主人公が殺されそうになるのはファミ探シリーズ恒例ネタなのですが、ちょっと無理矢理な感じも受けました(でもビジュアル演出は良かったです)。
これらの久瀬の異常な行動はその現場での精神不安定さ、兄のため故になんでしょうけど、刑事が民間人を銃で殺そうとするのも唐突と違和感がありますね…。
そして「都築の指紋が残る銃で死んでもらう」と言っていますが、明らかに久瀬は素手で銃を握っているので自分の指紋も残ります。
明らかに警察・鑑識結果でバレるのは自明の理でしょう…。
(主人公を殺した後、自分の指紋は拭き取り、都築の指紋で偽装しようとするんでしょうかね。)

これも敏腕で自他共に厳しい真面目な久瀬で、実は過去の笑み男との遭遇・兄の失踪などが原因で、サイコパス的な一面を持ってしまったと考えればそれら行動に合点はいきますが(?)、やはり普通はすぐ捕まるのは予想できるので、推理・サスペンスドラマの展開・セオリーとしてさすがにユーザーはちょっと納得できないと思うのです。
繰り返しますが、警察や鑑識は何をやっていたんだという設定の不可解さが多く見えるところです。

更にフィクション作品なのでご都合主義は仕方ないのですが、終章の廃村で偶然久瀬とばったり会うのもタイミングが良過ぎですね。
もうちょっと主人公と同時に会うような伏線があっても良かったように思います(むしろ主人公を付けていたのでしょうか…?)。

余談ですが、その後、回想シーンとして神原が助けに来ることが分かります。
ただ、回想ではなく、そのシーンで入れた方が演出やドラマ性、神原の活躍としても映えていたように思います。

そもそも論ですが、佐々木英介の他殺事件も久瀬が幼少期に笑み男と出会った事件も、久瀬が警察や空木にちゃんと真相をしていたらこんな一連のことが起きていなかったということもありますね…。
 

また、作中の笑み男・犯人でもある都築実の件も設定もどうかと感じました。

まず、18年も行方不明で見つけられない警察というのが無能で不思議です。
回想シーンでも扼殺(手で締め殺すこと)していたりして、指紋も残るでしょう。

廃村で18年生活していて、警察がそれを見つけられない、車も運転しているのでナンバーを控えられたり、ガソリン補給、免許更新などもあったはずなのに、警察が容疑者として見つけられないのはおかしく感じます。
顔も自分で傷をつけていたので、帽子・サングラス・マスクをしていて、いかにも怪しい不審者です。1990年頃の世界と言っても、そんな怪しい人物を見つけられない警察はどうなのでしょう。
テレビもありますし、どうやってインフラが整っていたか不思議です。

更に深層シーンのアニメを見ると、都築は子供の久瀬実にバットで何回も殴られても動じない屈強な体つきなんですよね。
人と出会わない廃村生活なら食べ物は一体どうしていたんでしょう。
山で山菜など食べていたのでしょうか。
深層編のアニメでは久瀬誠に料理を作っているシーンがありますが、何を食べさせているのかよく分かりませんね。
鍋のようですが、廃村生活でどうやって火を起こしていたかも気になります。
その辺りは久瀬誠に買わせてきたりしたのでしょうかね…?
それにしても、火はどう起こしていたんでしょうか。
ガスコンロなのかな…?🤔

ともあれ、そんな生活でまともな食生活ができたとは思えないのに、あんなに屈強な体つきでバットで殴られていても動じないのは不自然に感じました。
(そんな隠れた食生活ぶりなら、屈強ではなく痩せ細ってしまうのではないかと思います。)

加え、その都築実と記憶を失った久瀬誠は廃村で同居生活を行います。
久瀬誠は記憶を失い、都築実から洗脳されて暮らしていきますが、大人になって働いてからも彼を不審・疑問にも思わず、共同生活したのもちょっと合点がいきませんね…。

重複する部分がありますが、都築は18年前の容疑者でしたが、アパートに大量の血痕のせいで死亡と見られてたとのことで、その血痕などから都築を終えなかったりする警察や鑑識がまたしても無能なのでは…と思う箇所が多かったですね。
その現場を見た爺さんは有力情報者なのに、全然警察に情報を話していなかったのも不思議でありません。
本編でも主人公が都築のアパートに行って、その老人と話をしますが、結局意味があったのか…とも思ってしまいます。
そういったところは後日談ではなく、本編で情報を出す役として存在してほしかったですね。

また、連続少女殺人事件は3回あり、その後ずっと殺人が起きていなかったのも不明のままです。
(これは久瀬誠と同居生活したことがきっかけなのでしょうかね?)。

深層シーンのアニメで「えみこを探しに行くと言って久々に車を出す」というシーンがあるのですが、そこで偶然にもめぐみとあんなポンプ場で偶然会うのが不思議です。
(フィクションでのご都合主義といえばそれまでですが)

笑み男のエピソードですが、元は都築の妹の笑実子が、おてんばで男っぽいから「笑実男」と呼ばれ、それが「笑み男」となるのですが、ちょっと設定として強引な感じもしました。
それならば、その妹のエピソードを作中で主人公サイドから分かるようにもっと納得できる伏線として貼っていてほしかったですね。

私は発売前は「笑み男」ということで、男と言われているので、逆に犯人は女なのではと思ったりもしましたが。


 

②本編中での盛り上がりを大きくを感じられなく、急にクライマックスを迎える急展開、及び、後日談で物語のほとんどを回収

③本編中での主人公の捜査・行動であまり捜査の情報も得られず、残念ながら事件解決の協力にほとんど意味をなさない

■結局、深層編で空木から真実が明らかにされるのですが、本編の主人公たちをプレイしていても、事件の真相や笑み男の情報をなかなか得られないままゲームが進んでいくのはちょっとどうかなと思いました。
そうしたまともな捜査の情報も少なく、第二第三の殺人もなく盛り上がりも少ない中で、唐突に「終章」と言われても、「えっ?」と思ってしまいました。

振り返ると、物語前半は結局自殺であった佐々木英介の事件を追う話で、福山や神原との話も多いです。
その後は色んな街で聞き込みをしますが、事件の真相に辿り着く情報はほとんど得られないまま、たまたま工事現場の方達に都築がいると思われる山姥峠の場所を聞いて、そこからクライマックスに入ります。
これまでの捜査は何だったのか、そして急な終章、事件の真相は後日談で回収されることになります。
「主人公(プレイヤー)が捜査して、事件の真相を探っていく」という醍醐味が薄いので、ちょっとこれは推理・サスペンス・ミステリーの物語、「インタラクティブドラマ」としてもどうなのかなと感じました。
 

久瀬や警察の意向で主人公が調査できない
結局事件進展に主人公(プレイヤー)が何を見つけていったのか、振り返ると実はあまり貢献していないんですよね…。

あゆみちゃんの捜査も学校で福山との話ばかりで実際事件の真相に近づけていなく、更に福山のくどくてミスリードを誘う話ばかり、ということになってしまっています。

上記の捜査で進展がないというのも、久瀬や鎌田、警察が主人公に情報を教えられないといった部分もありますね。
これまでの過去シリーズでは、警察は空木探偵事務所や主人公には協力的でしたし、実際にそうして空木探偵事務署や主人公には功績・実績もあるにも関わらず、今作で「民間人には教えられない」というのは不自然に感じました。
ただ、久瀬だけに関しては、自分の行った行為が主人公に勘づけられると都合が悪いので、「調査の邪魔をしないで頂戴」と非協力的なのは納得できるのですが。

この辺り、今回は開発者が「推理アドベンチャーゲーム」ではなく「インタラクティブドラマ」と銘打っているので、そう言われると、従来の推理アドベンチャーゲームのセオリーを外してきたとも考えることもできますが。
それは今のSNS時代、すぐに情報も拡散されるので、「犯人は誰」という要素を主眼にしても仕方ないとも思う要素です。
「犯人はヤス」は有名ですが、今作では前半に出てきたり、公表されている主要登場人物が犯人ではないので、SNSでいきなり「犯人は都築実」と言われても誰? ということなりますからね。
なので、今作は犯人を推理することよりも、ドラマ性を上げたのかな、と想像します。
これは実際ゲームとして面白いかどうか別として「なるほど」と思いました。
そう思うと、ミノル編でアニメーションを挿入していたのも開発側の意向としては納得できますね。

それも「開発の意向として許容とする」としても、上記に挙げたように、刑事の行動や容疑者の生活、指紋や鑑識、トリックなど、プロット・設定そのものが破綻しているように感じるのでした…。

忖度なく言うと、手厳しいところですが、脚本やトリック部分については推理・サスペンス小説専門家などにも監修してもらったほうが良いのでは…と感じました。
ファミ探1、2はまだファミコン時代であったことや、メインユーザーも子供であったのでそうしたツッコミ要素も許されたかと思います。
(思い出補正かもしれませんが、それでも私はいまだファミ探1、2のストーリーは傑作だったと思います。)

令和のこの時代になって、当時ファンだった子供も大人になり、世の中の常識を知ったり、物事を見る目ができてきたり、他にも沢山の娯楽作品が増えている中ですので、推理・サスペンスモノとしてのストーリーやトリックも厳しく見られるかと思います。

作品の世界観の構築として、ツッコミどころが多い作品でも、「その作品ではそうしたものだ」と思えるならばそれで良いのです。
逆転裁判だってコナンだってツッコミどころは多いですw
しかしながら、今作は「ファミ探1、2」という過去作のベースがあるからこそ、その世界観が崩壊していると感じているのです。
前述したように過去作では警察は空木探偵事務所に協力的だったり、鑑識の話もあったりした記憶です。
 

以上が、ストーリーで気になる部分でした。

要約すると
・登場人物のバックボーン、その世界での人物の生活描写・人物背景を描ききれていない
・ゲーム、物語として、主人公の捜査や行動にあまり意味がない、達成感が得られない
のが問題というところでしょうか。
 

他に細かい点を挙げるなら、

轟夫妻が不憫
作中では都築を信用していて、「主人公も同じ目をしている」と言いますが、その後、都築を犯人と疑った主人公に怒る描写もあります。
結局、実際に都築が犯人であり、しかも殺されてしまって、夫妻は報われませんね…。

また、轟夫妻は昭和ながらの人情厚い人柄の設定です。
夫婦に都築が事件の容疑者・関係者かもしれないと話すと「奴はそんなことするはずはねぇ!帰れ!」一方的に怒られてしまいます。

当人らの性格や、我が子のように可愛がっていたことを思っていたり、警察にも話していなかったので、そうなるのも仕方ないのですが、「兄ちゃん、都築のような良い目をしているな」と言った後、主人子が誠意を持ってちゃんと都築を探すためと訴えたのに、そこまでキツく言われるのはプレイしていてちょっと悲しかったですね…。

また、「都築は良い奴だったから」と、轟夫妻が警察に真相を話してなかったのもちょっとどうかな…とも思ってしまいます。
ちゃんと警察に話をしていれば、良い奴だからこそちゃんと真相を知りたいという心境から、そして都築に会えたかもしれないのにとも思いますし。

加え、そもそも警察に話をしていれば、その後の事件も起こらなかったわけですし、結局都築が犯人だったということで「俺は人を見る目がなかったんだな…」というのはその通りになってしまいましたね…。
エンディングで轟夫妻のことは描かれていませんが、事件を知った夫妻を想像すると救われなくて悲痛ですね…。

めぐみや佐々木家、福山先生、その友人らも不憫ですね…
ただでさえ佐々木英介が自殺なことでショックなのに、それを捜索していた刑事がまさか他殺と偽装、隠蔽工作をしていたと知ったら更にショックで堪らないでしょう。

久瀬の起こした行為は刑事としてどんな責任になるんでしょうか…。
刑事としての独断行動、捜査撹乱、殺人偽装、殺人未遂でしょうか。
テレビでも笑み男が報道され、子供も真似する程の騒ぎになっていましたが、実は刑事がそんな他殺の偽装行為など行っていると知れたら、警察の大失態、更なる社会問題、テレビでも更なる大報道になっているだろうと想像してしまいます。
ただ、都築実と同様、久瀬純子もまた考える余地のあるキャラクターとして描いているのかもしれません。
であるならば、久瀬純子のことも、もっと丁寧に描いてほしかったなという思いもありますね。

福山と神原との会話がやたらダラダラ長く感じました。
福山があゆみちゃんを好きで、恋のライバルとして取り合いになる展開かと思ったら、別になんにもなく結局なんだったろう…と感じました。
一応その恋のライバル的なキャラがいたにも関わらず、物語としても主人公とあゆみちゃんとの進展もなかったので肩透かしな部分も感じました。

薙刀の話は過去にあゆみちゃんが薙刀を持っていたイラストがあったから、そこから持ってきて最初はファンサービスかと思いました。
しかし、その後も薙刀ネタを引っ張ってるので、その後の話に関係あるのかな? と思ったのですが、結局何もなく、こちらもなんだったんでしょうかね…。

また、福山先生は濃いキャラですが、「人生最後のティラミス」というくだりもなんだかあまり意味がなかったですね…。
自分が犯人と思わせる話にしても肩透かしでした…。

シリーズ定番の「ぢゃ」がお馴染みの「こまだ」「くまだ」こと、今回は鎌田警部との絡みが少なかったのが残念ですね。
作中でも警察から探偵(民間人)には情報を教えられないと言われるのもあるのですが、それもあってか絡みが少なくて残念です。

また、これもシリーズ定番で、死んだようなふり(寝ているだけ)だったり、犯人だと思わせるようなギャグ演出のように、鎌田は様子がおかしい意味深な仕草を見せますが、予想通り大したことはない単なるギックリ腰でした。
これもシリーズ定番ネタと同時に、鎌田が出勤しないのも不審さを誘ったミスリードを誘ったと思うのですが、シリーズ定番のファンからするとただのギャグネタだと思ったので、実際深い意味はないと思ったので予想通りですが…。
なんだか思わせ振りが拍子抜け且つ、出番の少なさに繋がって残念
と感じました。
 

他、不思議、不可解なところは

■事件当日、佐々木英介は電話をしていたのですが、結局誰に何のために電話していたのでしょうか
→解明されましたっけ…?

■福山がめぐみ失踪の時バス停じゃない方に走って行った
→結局なんだったのでしょうか。
 

ゲーム的な不満

■無駄な会話が多く、テンポがちょっと悪く感じましたね。
それは、福山と神原の会話が長く引っ張っていたところにあると思います。
アパート前の爺さんもそうですし、「丸くて白くて長いのが怖い」と言いますが、結局何だったのでしょうか…?
お年寄りが喉につまらせて危険な餅??
余談ですが、爺さんは主人公を「ひろし」と呼びますが、実際に主人公の名前を「ひろし」にしていたらどうなるんでしょうか…w

■ゲームの良い点として今作は「推理」できる要素がありますが、反面その「推理中」にメモが見れないことです。
名前を入力するところで、「名前(の漢字)なんだったっけ?」と思っても、メモを開けないので戸惑う局面もありました。
 

賛否両論点

ゲーム最後に福山先生がゲームの進行の採点をしてくれます。これはゲーム性として良かったですね。
ファミ探2のあゆみちゃんラブラブ度のオマージュもあり、ただ「動画として見るだけ」じゃなく、「ゲーム性」があるからです。

しかし、福山先生というのが謎です。
これはCOLLECTOR’S EDITIONの調査ファイルにその理由に「福山の通信簿アイディア」として書いてあります。

ただ、あゆみちゃんや空木先生から採点してもらえるならモチベーションが上がるのですが、福山先生からいきなり「教師と生徒」という謎の関係で採点をつけられても、ユーザーはモチベーションが上がるのだろうか…と感じてしまいます。

とは言え、あゆみちゃんにしてしまうと、ファミ探2のラブラブ度チェックの二番煎じになってしまうからというのもありますが、せっかく各章最後に事務所であゆみちゃん・空木と推理をして、そこで褒めてもらえるやり取りもあるからこそ、あゆみちゃん・空木から評価されても良かったのでは…と感じました。
個人的には福山先生ではモチベーションが上がりませんね😅
女性ユーザー向けなのでしょうかね…。

■久瀬は贖罪として刑事をやめ、兄と生きる人生、そして神原と結婚する話になりますが、久瀬はハッピーエンド、被害者に見える一面もあって複雑です。
何故なら一連の事件の混乱は久瀬のサイコパス的な行動(幼少期にちゃんと空木に話さない・大人になって刑事になったら偽装工作、主人公を銃殺する容疑など)によって、色々やらかしており、轟夫妻や佐々木家と比べるとなんだかなぁと思ってしまうのでした…。

■タイトルロゴで使われていたのはナスの花でしたね。
てっきり私は発表当初、ユリの花だと思っていました。
ユリは主人公の母の名前で、18年前の事件と関係があるとのことで、主人公の生い立ちや母に関係するのでは?と想像していたのですが、全くハズレましたw
事前にナスの花と当てられた人はいたのでしょうか…?

COLLECTOR’S EDITIONでの調査ファイルを読むと、夏だからナスにしよう→その後ナスの花言葉は「つつましい幸福」「希望」「真実」と知ったので、今作にちょうど良いとのことですが、ちょっと安易では…?という気もしてしまいます😅
また、都築はナスが好きだったということですが、子供でナスは苦手な子供が多い気がしますw(偏見ですw)
 

その他、細かいところ

■まさかのモブキャラで有名声優さんを起用しているとは思いませんでしたね。

タクシー運転手:花江夏樹さん
→アニメ「オッドタクシー」で主人公を演じていますが、そこからインスピレーションを得たのでしょうか。
ただ、タクシー運転手は年配の老いた人なので、ちょっと無理やり老いた声を出しているのに違和感がありましたし、花江夏樹さんという人気声優を起用したことで、タクシー運転手が怪しいと思った方もいるのではないでしょうか。
結局何もなかったのですが…。
また、めぐみの母親役に沢城みゆきさん、工事現場員に銀河万丈さんなども起用されてましたね。

■今作は冒頭に書いたように、アシスタントプロデューサーの宮地さんが大きく参加されているとのことで、坂本さん曰く、今後のファミ探シリーズ制作の「後継者」と言っていますね。
そうした後継者、世代交代もあって、ファミ探シリーズが続いていくのであればファンとしては嬉しいのですが、プロット・脚本・ストーリー部分については今作はちょっと厳しいものに感じたので、そこは専門の方にお願い、監修していただいた方が良いのでは…と感じました。
(余談ですがサウンドノベルの傑作「かまいたちの夜」は実際の推理小説家の我孫子武丸さんがシナリオを書いていましたよね。かまいたちの夜のプレイ後、我孫子武丸さんの8の殺人、0の殺人、メビウスの殺人も読みました。)

■メガネ・コンタクトキャラ
婦警さんがメガネをして再登場します。
シリーズファンとしてお約束のやり取りもあって嬉しいのですが、今作はメガネをしていますね。
前作ではコンタクトをしていたと言っていました。

あゆみちゃんも夜の事務所ではメガネをするときがあります。
しかし、メガネをしているあゆみちゃんに「調べる」などしても何も反応がなく、結局何だったのでしょうかw
また、普段はコンタクトなのでしょうか。

余談ですが、日本では1991年に使い捨てコンタクトレンズが出てきたそうです。
それまではハードコンタクトレンズが使われていたようです。
なお、当時のハードコンタクトレンズの価格は高く、一枚15000-30000円程度だったらしく、庶民が買うにも高い商品だったと思います。
そう考えると、何故あゆみちゃんがメガネをしていたのか、普段はそんな高級なコンタクトをしていたのかどうか気になりますね。

まあ、婦警さんもあゆみちゃんもメガネをしたこともあって、単にイラストレーターの方がメガネフェチなのでしょうかw

イラストレーターの好みやファンサービスとも言えますが、単に後付け描写に感じてしまう部分もあるので、そうしたバックボーンや時代考証はもうちょっと考えてもらいたい一面もありますね。
 

■主人公は探偵兼大学生?
主人公は19歳で探偵をしていますが、声優の緒方恵美さんによると「主人公は大学生」だそうです。
まあ、作中で「大学生」という描写は何もなかったのですが…w


 

総評・まとめ

正直、評価をつけるのは難しいですね…。

私としてはファミ探好きとして思い入れや、楽しめた部分もありますが、冷静に見ると、肝心の設定、プロット、設定、ストーリーが気になって残念な思いが強いです。

ただ、推理モノとして考えず、開発者が言うように「インタラクティブドラマ」としてドラマを見るようにあまり深く考えないでプレイする人にとっては面白いのかなと思います。
シリーズファンの方や、そうではない新規の方はどう感じたのか気になりますね。

また、アドベンチャーゲームという繰り返し遊べる部分も少ない点も考慮、ファミ探ファンじゃない人からすると、6000円くらいは高いのでは…?と感じる人は多いような気がします。
そう考えると、最初の坂本さんの「賛否両論」と言っていたことから、私は体験版で章最後の推理部分をプレイして、「実は今作はマルチエンディングで、途中で犯人も見つけられるのでは?」とも思ったのですが、実際そうではなく、いつも通りの一本道の展開でした。
単に私が期待し過ぎてしまいましたかもしれませんが…。

この辺り、これまで他社アドベンチャーやノベルゲームでは前述したザッピングシステム、マルチエンディングを始め、周回プレイによるゲーム展開の変化、メタ要素展開、逆転裁判でいうならば尋問や証拠品を突きつけるなど、そういった新しい面白さがあると、ゲームとしての面白さや密度、ボリュームとして満足度があったのではと思います。

実際、価格については、グラフィックやアニメーション、声優さんなどの起用から、それ相応の開発費がかかっているので値段は妥当かと思いますが、ファンではないユーザーからすると高いのでは…? と感じる人もいるような気がします。

ミノル編のアニメーション表現もこれまでのファミ探から考えると思い切ったことではあるのですが、令和の時代のゲームとして考えると思うところはありますね…。
PS1時代くらいからそういったムービーゲームが増えましたが、そういう意味では、今作のやっていることが「25年前くらいのPS1時代にやっていることのような古さであり、令和ならではの新しさを感じない」とも感じてしまっています。
ちなみにその時代のゲームのDの食卓はインタラクティブ・シネマと呼ばれていました。

まして、そもそも任天堂はどの会社よりも、「ゲーム自体の面白さを追求している会社」だと思います。
これまでのゲームの歴史でも、例えばRPGでムービーを垂れ流す場面が多い「ムービーゲーム」と揶揄されるものもありました。
そういった意味ですと、今作のラストのアニメーションが20分程流れる展開は、「任天堂のゲーム」らしからぬ賛否両論、非の意見があってもおかしくないように感じたりもしています。
この辺り、ラストのアニメーションは本当に意図して作ったものか、それともスケジュールなど開発の問題からアニメーションにせざるを得なかったのか、と色々考えてもしまいますね。
 

私個人としては不満点がありつつも、新作のファミ探が遊べて楽しめましたし、嬉しかったです。
一方で、肝心のストーリーなど残念な部分もあってショックな部分もあります。
設定、プロット、ストーリーは気になってしまったので、次回作が出るのであれば、その点は考慮していただけると嬉しいです。

また、「35年振りの新作」と謳われていますが、昔、1997年にサテラビューでのBS探偵倶楽部はなかったことにされているのでしょうか…😅
サテラビューを持っていた人は少なかったと思いますし、私もプレイできなかったので、できればそちらも配信してもらいたいですね。

ともあれ、ラストに関して賛否両論あるというのは事前に知っていて、それは私としては「なるほど」と思う部分があるのですが、そもそも本編の設定やストーリー部分に賛否両論ありそうな感じを受けた今作でした。
とは言え、ファミ探シリーズは好きなので、今回の賛否両論の意見を元に新作やBS探偵倶楽部も出してもらえると嬉しいです。

ネガティブなことを言いたくないのですが、最近よくある過去IPのリメイク、続編などリブートしたけど、「コレジャナイ作品」になってしまった感も受けます…。

私は本当にファミコン版のファミコン探偵倶楽部から好きでした。
当ブログでも、他のゲームや映画などの作品含めて、盲目的な信者として全て良かったと賛辞するだけではなく、忖度なく、中立性を持って、本当に作品の良いところ・良くないところを書いていきたいつもりです。
その辺り、ご理解いただけたら幸いです。
 

なお、前作リメイク版に引き続き実況プレイもしています。


 

また、重複しますが、Switch版リメイク、消えた後継者・うしろに立つ少女のレビューも書いています。
良ければこちらもご覧いただけると幸いです。

良リメイク。感想「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 うしろに立つ少女」他、限定版について【Switch】