【アニゴジ】「GODZILLA 星を喰う者」感想。”映画”としての見せ方が残念だったが意欲作ではあった。ネタバレあり【3章】

2019年4月13日

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映画アニゴジこと「GODZILLA 星を喰う者」を見てきました。
1、2部と続き、この3作目が完結編です。
 

これまでの1、2作目も感想に書いてまして個人的に微妙…という感じでした。
微妙というのも、結局3部作なので全部見ないと分からないので判断は保留(微妙)としてきましたが、今作を見て残念ながら私個人の感想としては厳しい、面白くなかったというのが結論です。

感想は思ったことをネタバレで羅列して書いているので読みにくかったり、あくまで個人的なものなのでそこはご了承ください。
 

予告

 

どこが面白くなかったか

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出典:http://godzilla-anime.com/
 

まず、私は昭和のゴジラシリーズからゴジラを見ていて、昭和や平成の怪獣プロレスも好きで、シンゴジも大好きです。

前2作や今作を見た後で色んな人を意見を見ていると面白くないという人は怪獣プロレスを見たかったという人も多いようですね。
自分は怪獣プロレスでなくとも良く、面白ければ何だってアリだと思っています。
ただし、怪獣プロレス以前にそもそも映画としてどうなのかと思っています。

世界観・設定・脚本は悪くないと思うんです。
ただ、それを活かした映像作品になっていなく、3部作共通して言えるんですけど、映像作品としてメリハリがなく、無駄なシーンが多くてテンポが良くないんですよね。

例えば今作でもギドラ登場を見た色んな登場人物が驚いている描写があります。
しかし視聴者はそれを分かっているのに何度も何度も登場人物がギドラを見て驚いてる描写はくどくて余計な要素でストレスを感じました
見ている途中で「またか」「分かってるよ」とうんざりしましたね…。

3作通して、視聴者が見たいものを見せなかったり、ワクワクさせたり心理を高揚させて面白くさせるのではなく、逆に盛り下がるシーンが多いように感じました。
 

言葉だけによる難しい説明ばかり

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出典:http://godzilla-anime.com/gallery/index.html
 

全編通じて、相変わらず劇中の説明は紙芝居のような言葉だけです。

映像作品なのだから目で分かる、理解はできなくても「なんかすごい」とか感じられるにしたほうが良いのではと思いました。

その説明も相変わらず中二病の難しい言葉の羅列です。
特に「故に」が何度も何度も出てきます…><

自分は物語で何を言いたかったか感じ取れたり、おおよそ理解できたつもりですが、あくまで言葉による説明を頭で理解できただけであって、映像作品として心を揺さぶられませんでした。

また、その難しい言葉も実は大したことないことを難しく言って凄そうに見せてるだけで、実は大したことは言っていないように感じました。
以前の感想にも書いたように中二病、意識高い系の人が難しい言葉を言って凄そうに見せてるだけなんですよね。
(余談ですが自分は「難しいことを誰にでも分かるように簡単に説明できることのほうが真に凄い」と思っています。)

他作品になりますが、自分はシンゴジやエヴァは大好きです。
庵野監督のエヴァやシンゴジも同じように難しい言い回しをしていたりします。
しかし庵野監督の作品は例えそれを理解できなくても、映像だけで「何かすげー」と感じたり、見せ方、演出が面白く、映像の力を感じます。
また、シンゴジも説明が難解で尺も多く、早口なところもありますが、庵野監督はそれも分かっていて、テンポを速くしたり、ただの討論しているだけのシーンも見せ方やアングルを変えて飽きさせない工夫をしてたと思います。

ただ、アニゴジは単に登場人物が紙芝居のように説明するだけで、途中の映像表現も特に工夫を感じられず、動きもなく冗長としているだけなんですよね。
さすがにそれでは苦痛になってしまいます。
 

と、このように言葉だけで説明してるだけで全体的に動きがなく、心を揺さぶったり琴線に触れるような心理誘導、映像作品になっていないのが残念なのでした。

なお、虚淵さんの脚本は好みはあると思いますが、悪くないと思うんですよ。(ちなみに自分はテレビ版まどマギにはドハマりしてBD買いましたw)
小説も評判良いみたいですし。
自分もなんとなく言いたいことも感じ取れたつもりです。
ただし、残念ながらそれを映像、映画として観客を満足させられる仕上がりになっていないように感じました。
 

ギドラとモスラについて

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出典:http://godzilla-anime.com/gallery/index.html
 

ゴジラとの対決も見せてくれましたが、絡みついて噛み付くだけで、ゴジラそのものも大した動きもなく、アクションとしても楽しめず、同じようなシーンばかりで見ていて辛かったですね…。

そして予想通り、ギドラは首だけでした。

予算や制作期間の問題でしょうねぇ…。
自分はCGの専門家じゃないので詳しいことは分かりませんが、頭部と一部首を作ってあとはコピペ、そしてそれをコピペで3つ作ればギドラの出来上がりです…。

一応、首だけ登場と言いましたが、実際は全身のシルエットも出てきます^^;
それも何度もくどいほどの使い回しで昔のFLASHのような影絵の演出で…><
 

また、ギドラ登場前の祈りの場面で昭和版ゴジラのキングギドラの鳴き声を使っていますが、旧ゴジラ作品のリスペクトを感じられない中でそれをやられても「単にこうすればマニアは喜ぶでしょ」と言う狙いが見え透いて感じました…。
 

なお、モスラも出てきますが、ほんのちょっとでしかもシルエットのみ。
やっぱり予算と制作期間なんだろうなぁ…。

ハルオが見たとき「蝶?」と言いますが、本来モスラは蛾なわけですが、まあ知らないハルオからすれば蝶という言葉が出てくるのかもしれません。
「蛾」一文字では語感が悪いですし。
 

ゴジラについて

ギドラとの対決後は休眠状態になりますが、それで良いの?と思ったり…。
また、今作ではギドラがメインになっていてゴジラについてはほとんど触れていないようにも感じました…。

1、2部の感想で結局ゴジラは何なのか?と書きましたが、個人的にもはやどうでも良く感じている自分がいます…^^;
 

結局アニゴジとは何だったのか

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出典:http://godzilla-anime.com/character/
 

主人公ハルオの物語でしょうね。

ゴジラへの憎しみでしか生きられなかった彼ですが、劇中での経験や、メトフィエスの洗脳やフツワ族(マイナかミアナかももはや自分は理解できていませんがw)との会話などから自分自身を振り返ります。

メトフィエスからはハルオは選ばれた存在であり、人類や地球が滅ぶことでハルオも救われるという、まあ生と死、破壊と再生は等価値といったような洗脳をしてきます。
確かにこれまでゴジラへの憎しみでしか生きられなかった彼が救われる一つの考え方としてはあると思います。

(…と言いつつも、散々言われてますが、1章では彼の独断で沢山の兵を死なせ、2章ではユウコとデキてその彼女を守るため兵を殺すことになり、3章ではフツワの女の子を孕ませておきつつ置き去りにして、勝手に元カノの死体と共にゴジラに特攻ってどうなんでしょうかね^^; 見方によっては自己中なのは変わらずで、クズと言われても仕方ないかもw)
 

フツワ族はゴジラは「怖い」が「憎い」という言葉がないとのこと。
ここではフツワ族にとってゴジラが台風や雷のような災害なような存在であることが分かります。
これまでのゴジラシリーズの存在とも同じですね。
また、ゴジラから逃げることは負けではなく、生きること、「命を繋ぐこと」と言ったことが大事とも言われます。

ハルオたちはフツワ族と一時的に原始的な平和な生活を送ります。
ハルオはそうした「ゴジラとは戦わない生き方もある」とも感じたように私には見えましたが、自分のこれまでの生き方や存在意義を振り返り、結果、ゴジラへ特攻、死にます。
ですが、そこにもはや憎しみによる生き方はなく、むしろ救われたという、彼の生き方、考え方の変化があったという点でハルオの物語だったんだと感じました。
 

シナリオは悪くないと思います。
ゴジラという絶対的恐怖の神がいる世界で、エクシフやビルサルドといった異星人やフツワ族のような原始的生活を送る人間との哲学、人生観、価値観、宗教などの違いや対立があり、そこは面白い部分だと思いました。
彼らとの交わり方やゴジラに対し勝てないといった中、ハルオの心情の変化が脚本ではあったんだと思います。
ですが、いかんせんそれを映像作品として面白く描けていないのがもったいないと感じました。

また、ハルオの物語ならば、彼にもっとスポットを当てて、感情移入させたほうが視聴者にとっても分かりやすくて良かったのでは?とも思います。
元々設定も細かいのですが、それらをなんでもかんでも詰め込もうとしたようにも感じました。

人類は生きるにつれ、科学や文明を持ちたくなり、それによる功罪を成す(反核=元々のゴジラのテーマ)と同義とも感じられましたが、うーん、やはり映画として面白く表現しきれていないように感じました。

哲学的なテーマとして、フツワ族との共生やエンドロール後のフツワ族のカットは、人類は原始生活に戻るが、その後文明を持ち歴史は繰り替えす→ギドラの登場による破壊=再生→原始に戻るといったものにも感じました。
 

とシナリオは悪くないと思うんですが、やはり映像作品としてよろしくないと思いました。
これまでの特撮ではできない折角のアニメ(フルCG)のゴジラということですが、そうした映像としての面白さを個人的に感じられませんでした…。
映画なので映像も一緒に楽しみたいわけですが、言葉による説明ばかりで、特に3章はこれまで以上に動きがありませんでした…。
シナリオの賛否、好みは各人仕方ないにせよ、まず映像作品としての面白さを見たかったです。
 

入場特典

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2枚入っていました。
 

総評・まとめ

世界観・設定・脚本はこれまでのゴジラシリーズと違っていて、そこで旧ゴジラファンからは面白くないという意見もありますが、そこはあくまで好みの問題でこうした新しいゴジラ作品の意義は良かったと思います。

しかし、私はまず1本の映画として面白味や見どころを表現できていなく、むしろストレスのある作品に感じました。

結論として自分は面白くなかったんですけど、色んな意見を見てみると面白かったという人もいるようで、これまであまりゴジラを見たことなかったり、若い世代のアニメ好きやSF好きな人には良いかもしれません。声優人気から若い女性も見ているようですし。
ゴジラシリーズも色々あって、昭和、平成、ミレニアム、シンゴジ、ギャレゴジなど沢山あり、各人それぞれが好きなゴジラ作品があれば良いと思います。

なので、今作アニゴジを面白い人面白くない人それぞれいるかもしれませんが、そうした多様性はあって然るべきで、そしてそれら全体でゴジラシリーズそのものが盛り上がり、今後も日本から新作が出れば良いなぁと思います。

これまでの伝統やお約束も大事ですが、同じ事ばかりしていても未来は先細りになるので新しい試みや挑戦は大事です。
結果としてそれが面白くない、失敗というリスクもあるかもしれませんが、挑戦して新しい作品を作っていくことに意義があると思いました。

今後も日本から新しいゴジラ作品が出ることを期待します…!
 

1、2部、これまでのゴジラ作品感想

個人的感想になりますが、良かったらこちらもご覧くださいm(_ _)m

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