「ゴジラVSデストロイア」感想【前編】初代ゴジラ、正統続編の傑作。

2019年4月15日

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出展:http://laughy.jp/

シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想。
「ゴジラVSデストロイア」。1995年12月公開。

個人的評価:95点

前記事「VSスペースゴジラ」からの続きです。
記事が長くなったので分けています。今回前編。

実は今作、リアルタイムで見たときはちょっとイマイチという印象でした。展開もちょっとたるく感じ、面白味に欠けるという印象で、特に思い入れもなかったんですよね。

そのイメージもあってか、VSデストロイアはその後大人になって見返しことはほとんどありませんでした…。

そしてシン・ゴジラを見て、ゴジラ熱が再燃、ゴジラシリーズを見返している今、改めてVSデストロイアを見ました

…え!? こんなに面白かったの!?

…びっくりしちゃいましたw

内容を忘れていることもあってか、久々に見たら後半はゾクゾクしちゃいましたw いやはや、ここまで面白いとは!w

なお、今作は世間評価では賛否両論だったり、イマイチという人もいるようですね。まさに昔の自分もそうでしたが。

昔の印象で点数を付けるなら60点くらいだったと思います。それがまさかこんな高得点、自分の中でここまで評価の高い作品になるとは思っていませんでした

予告

 

何故改めて見たら面白く感じたのか、3つの理由


1. 初代ゴジラをちゃんと見たため

2. 過去シリーズやシン・ゴジラを見て、ゴジラのテーマの再認識

3. 前作スペースゴジラと比べ、相対的に面白く感じた
そうか、スペースゴジラはそのための犠牲となったのだ…。

VSデストロイアを面白く感じるためには、初代ゴジラからの続編なのでやはり初代を理解しておく必要があります。そしてその理解や思い入れが深いと今作を楽しめるかと思います。
しかし今作はエンターテイメント性や娯楽要素もなく、いわゆる一見さんでは楽しみにくいファン向けの作品といった印象がしました。そこで評価が分かれる
と思います。

それでは面白かったポイントを挙げていってみます。

1.ゴジラのテーマや存在意義

初代ゴジラから、ゴジラは「人間が生み出した核の恐怖や業、アンチテーゼや警鐘」を描いた映画、存在です。

今作ではゴジラ体内の原子炉が暴走し、核爆発やメルトダウンを起こすのを人間が阻止しようとします。結局ラストでは阻止できず、最小限に被害を落とすまで努力はするのですが、ゴジラは東京で放射能を撒き散らして死んでいきます。

そのときの主人公、伊集院博士とヒロイン、山根ゆかりのセリフ。

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伊集院「ゴジラが…東京を死の街にして溶けて逝く…」

山根「これが私たちの償いなの…」

伊集院「償い…」

山根「科学、核をもてあそんだ私たち人類の…」
 
 
人類への警鐘、償い、罰、悲劇的な結末ですね。

ゴジラは人間が作った核による生まれた業、呪いの存在なのです。

なお今作では、VSメカゴジラ以降登場していたリトルゴジラ(ベビーゴジラ)がゴジラジュニアとして大きく成長して登場しています。そしてそのジュニアはデストロイアによって絶命させられたのですが、ゴジラの撒き散らした放射能を吸収し、ジュニアはゴジラとなって再生します。そして放射能が吸収されたことにより東京はメルトダウンを免れるのです。最後、そのジュニアがゴジラになったシルエットが現れて幕を閉じるのです

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このシーンは、ゴジラによって東京、人類は救われたとの解釈がありますが、自分は様々な意味合いがあると思い、それを書いてみます。

ゴジラは人類にとって味方(救世主)でもあり、敵でもある。

そしてゴジラは人類にとって業、呪縛で逃れられなく、共存していかなければならない。

シン・ゴジラも見て、なお一層感じたのですが、ゴジラは敵、味方でもなく、ただの自然現象なので共存していかなければならないのです。
(自然現象=地球にとっての地震、台風と同じ。ただし人類にとっては災害・天災)

ハリウッド版ゴジラ(2014)のラストでは「ゴジラは救世主か?」とのセリフがあったり、シン・ゴジラの途中のデモシーンでも「ゴジラを倒せ」「ゴジラを守れ」「ゴジラは神だ」「ゴジラは敵だ」とのシュプレヒコールがあります。

また、これまでのゴジラシリーズでも、ゴジラは正義や悪になったりしていています。要は人間の見方によりゴジラは善や悪どちらにでもなりますし、むしろそのどちらでなく中立でもあるんですよね。

それがシン・ゴジラの描き方でもある「天災」「神」でもあるとも一貫しています。

これまでの作品もそうですが、ゴジラが善や悪、どういった立場かというと、ある意味人間が自分たちにとって都合が良いか悪いか決めてるだけなんですよね。そこはVSキングギドラが分かりやすいです。

ともあれ、ゴジラは救世主でもあれば破滅の使者でもあり、逃れられない業・呪いなので共存、向き合っていかなければならないというわけです(また、ゴジラ=核(核兵器や原発)としても考えることも可能です)。

また、メルトダウンの罰で「科学、核をもてあそんだ人類の償い」とのセリフがありますが、ゴジラに助けられるんですよね。これは「死ぬのが償い」という悲劇的な終わり方ではなく、今後どのようにゴジラ=核と向き合って生きていくのか、という、現在進行形、未来への私たち視聴者への投げかけとも受け取れます。

初代ゴジラのテーマとしてもそうですし、平成シリーズの締め括りとして考えさせれる良いラストだなぁ、と改めて感じました。

2.「ゴジラ死す」。破壊と再生、新旧世代交代劇

今作キャッチコピーは「ゴジラ死す」。平成シリーズが終了とのことで、平成シリーズのゴジラは死にますが、代わりにジュニアがゴジラへと新生します。

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▲ゴジラジュニア。

「ゴジラは強い」ので死んで欲しくないというファンからの願いもあります。生あるものは必ず死にます。それを世代交代という流れにしています。

また、記事後編に書きますが、平成ゴジラシリーズの顔とも言える三枝未希もラストで「自分の役目は終わった…」と言い残します。その後、後輩の小沢芽留がジュニアがゴジラへと再生した気配を感じるカットがあります。これも同様に旧から新への移り変わりを表現しています。

旧と言えば、初代ゴジラのオキシジェンデストロイヤー設定やオマージュも同様ですし、タイトルロゴシーンで初代ゴジラロゴが爆発して今作のロゴが出現演出や、先程のメルトダウンで破壊されそうになった東京に関しても、破壊と再生(新生)、新旧世代交代を表現していると思います。

改めて今作を見直し、奥が深かったと感じたのです。

3.初代ゴジラの続編であり、リスペクトやオマージュ

シン・ゴジラも過去シリーズのリスペクトやオマージュがありましたが、今作も同様です。

●1.初代ゴジラでゴジラを死滅させた 悪魔の兵器オキシジェンデストロイヤー。今作の登場怪獣はそこから誕生したデストロイア。いわばゴジラにとって悪魔の怪獣。

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参照:http://tamashii.jp/
▲完全体のデストロイヤー。

個人的にデザインはあまり好きじゃないのですが、そうした悪魔という怪獣を考えるとなるほど納得と思いました。

なお、劇中では暗くて分かりづらいのでフィギュアの写真。これ、めっちゃクオリティ高いですねw

 
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▲初代ゴジラのヒロインの山根恵美子役の河内桃子さんや山根博士の孫が登場。

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▲初代ゴジラの芹沢博士。回想シーンも流れます。

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▲唯一ゴジラを葬ったオキジェンデストロイヤー。

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▲初代ゴジラの死。

今作でもゴジラが死にます。シリーズでゴジラが死ぬのはこの2作だけです。

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▲東宝ロゴシーン。

初代と同様で、ゴジラの足音から鳴き声。ちなみにシン・ゴジラも同様(船の上だったかな?)。

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▲タイトルロゴシーン。

初代ゴジラのロゴが爆発し、オキシジェンデストロイヤーが現れ、そして今作のロゴが登場。BGMと重なり、めっちゃカッコイイシーンです!

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▲海上が始まりのシーン。

初代と同様のオマージュ。ちなみにシン・ゴジラも同様。
今作は前作のリトルゴジラやバース島繋がりがあるので、前作を見ておいたほうがより楽しめると思います。面白くはないんですが…。

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▲東京湾海底トンネルでの事故の場所。

初代ゴジラの芹沢博士が命を落とした場所。そこからデストロイアが発生します。シン・ゴジラで牧博士が身を投げたと思われる場所。

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▲「生命の保証はできませんので、お通しすることはできません!」

伊集院博士がデストロイア発生時、山根ゆかりを助けに行くシーン。
初代ゴジラでは山根博士がゴジラ東京上陸の際、防衛隊員に同じ台詞を言われます。

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▲銀座時計塔、国会議事堂。

初代ゴジラの名シーンを現代版カラーで見られます。なお作中ではイメージ映像です。くどいですが、シン・ゴジラでも熱戦によって燃え上がる光景がありましたよね。

4. ゴジラの見た目もインパクト大。そしてゴジラはやっぱり強かった

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▲今作ゴジラは体内の核エネルギー暴走により、見た目が赤く光っているバーニングゴジラ。

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▲冒頭、香港の夜景でのバーニングゴジラの図。カッコイイ。

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▲光などの演出の見せ方も派手になっています。

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▲熱線だけではなく、肉弾戦ででも致命傷を与えます。

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▲デストロイアのオキシジェン・デストロイアー・レイ。

生成するミクロオキシゲンの濃度が極限にまで高まり、威力においてはオキシジェンデストロイヤーと互角とのこと。最初はゴジラも一発で吹っ飛ばされます。

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▲デストロイアのヴァリアブル・スライサー。
ミクロオキシゲンを高圧で噴出しながら相手を切り裂く技。

デストロイアも強いのですが、バトル後半ではゴジラの炉心温度がレッドゾーン(1160度以上)になり、G細胞が通常時とは比べ物にならないほどに活性化していて、オキシジェン・デストロイアー・レイやヴァリアブル・スライサーなどの大技を受けても即座に回復する治癒力になっているとのこと。つえぇ。

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「なんてやつだ!」
「今のゴジラにオキシジェンデストロイヤーでさえも無力なのか」

そしてラスト、メルトダウン寸前、ジュニアを殺され、怒り狂ったゴジラが全身から光を放ってからのインフィニット熱線が凄まじいです。

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インフィニット熱線とは

平成ゴジラVSシリーズどころか歴代ゴジラの中でも最大級の破壊力を持ち、熱線はゴジラがメルトダウンするまではその名の通り理論上無限に熱量が上昇し続けるため、まさにゴジラ最期の技である。

引用:http://dic.pixiv.net/

ちなみにゴジラは死にますが、怪獣にも人間にも倒されたわけではありません。そこもいいですね。

後編へ続きます。