「GODZILLA(1998)」感想。ゴジラのデザインはある意味革新的だが、脚本が…。

2019年4月8日

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出典:http://www.kousuku.com/

シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想、ハリウッド版1作目です。
「GODZILLA」。1998年7月公開(日本)。

個人的評価:50点

予告

 

シン・ゴジラを見てから改めてゴジラシリーズを見直し、その感想を書いていましたが、Huluでハリウッド版は無かったんですよね。ですが、最近ハリウッド版2作も配信になったので書くことができました!
 

さて、自分は当時リアルタイムで映画館に見に行きました。
普通の映画としては面白いけど、ゴジラの意味はないなぁと感じていました。
日米ファンからも評価が低い作品のようです。

とは言え、時が経つと見方も変わってくることもあり改めて見てみました。
 

ざっくりストーリー(ネタバレ注意。時系列は多少前後)

自分はすっかり忘れていたので備忘録としても書いてみました。
 

ニック(主人公)はチェルノブイリで放射線による生物への影響を調査している生物学者。

オードリー(ヒロイン)は売れないリポーター。
元恋人同士。

ニックはその腕を買われ、米国のゴジラ調査に編入されます。

ゴジラがマンハッタンに出現。街を混乱させます。

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ニックの提案により、マグロをエサにしつつ、ゴジラをおびき寄せます。結果ゴジラをミサイルで倒し、万々歳する軍と市民。

ニックにまだ恋心があるオードリーですが、ニックがゴジラや軍の機密情報を持っていること知り、千載一遇のチャンスと思い、その情報を盗んでスクープとして出してしまいます

その頃、軍ではニックはゴジラが卵を産んでいる説を提案しているのですが、軍はなかなか信用しない状態。

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丁度そのとき、軍は先程リークされた情報を知り、その犯人はニックと疑いをかけ、軍から降ろすことになってしまいます。折角のニックとオードリーの再会も険悪な別れになってしまいます。

ニックはその後、半ば強引にジャン・レノ率いるフランス部隊に入ることになり、米軍とは別行動でゴジラの卵を破壊しにとあるビルにいきます。

その情報を知ったオードリーの同僚はオードリーを説得して、ニックの説が正しいことを証明するためにも同じく卵の追跡に向かいます

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結果、二手に分かれてたグループは合流、ゴジラの沢山の卵を発見しますが、次々と孵化してしまい、小サイズのゴジラが大量に現れてしまいます

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これらが街に出現するとまずいとのことで、オードリーはリポーターとしての覚悟をもってテレビでその様子を公開、ニックの説が正しかったこと、そのゴジラが街に出る前にビルを破壊してほしいとリポートします。

結果、二人の仲は良くなりますw

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ミサイルは発射され、ビルは破壊されるのですが、彼らはなんとか寸前のところで脱出します。

これで全てが終わったかと思うと、実は最初の巨大ゴジラが生きていて、彼らの目の前に現れます。

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ゴジラは子ゴジラの亡骸を見て、悲しみ、憤慨、目の前にいたニックらを追いかけます。

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ニックらはタクシーに乗って逃げます。

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途中で軍と合流、吊り橋でケーブルが上手くゴジラを捕獲することになり、軍がミサイルで攻撃

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ゴジラは息絶えます。

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軍も市民も大団円、ニックとオードリーはすっかり寄りを戻す関係になります。

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ところがラスト、実は破壊されていない卵が残されていて、そこからゴジラが産まれるのでした
 

…まだだ、まだ終わらんよ!

終わり。

良かったところ

●ゴジラのデザイン・造形は良いと思いました

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イグアナやトカゲと揶揄されていますが、個人的にはハリウッド、外国で作るゴジラなのですから、価値観が違うのも当然であり、ある意味日本のゴジラと全く違った発想のもので面白いと思いました。

当時はCGが隆盛期で、その恩恵も活かした動物としてのリアリティある躍動感ある新しいゴジラ、かなと。

作中でもマンハッタンの高層ビルを走り回るスピード感溢れるゴジラも面白いです。戦闘機での攻撃シーンや車から逃げるアクションシーンなども迫力がありました。

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▲そういえばリアルタイム時は予告や映画冒頭でもなかなかゴジラ全体を見せないようにしていた気がします

●日本版ゴジラのオマージュシーンがある

エメリッヒは「第1作の製作者たちが現代のSFX技術を持っていたらどのような映画になったか」を考えて作ったという。第1作でのゴジラが電車をくわえるシーンや調査隊が足跡を調査するシーン、1984年版でのビルにあいた穴からスーパーXがゴジラに攻撃するシーンなどをオマージュとして映画に挿入している。

引用:wikipedia

ああ、言われてみるとそうですね、見てるときあまり意識してませんでしたが^^;

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▲今作ゴジラは知性も高く、ビルの穴に逃げたかと思い、そこを攻撃しているヘリ軍。しかし、志村ー!うしろー!状態

 

悪かったところ

●「ゴジラ」である必要がない

これら設定は後述する脚本に起因しますが、「ゴジラ」である必要はないんですよね。
ただの恐竜やモンスターと同様の扱いです。

他ゴジラ記事にも書いていますが、ゴジラはそもそも核の恐怖から生み出された畏怖の象徴です。シン・ゴジラがまさしく分かりやすい作品なのですが、ゴジラは恐怖、災害、抗えない神のような存在です。霊魂など目に見えない部分を大事にする日本だからこそ、そういった設定を抑えないとファンは納得しないでしょうね。

一応、今作ゴジラも核実験で突然変異してしまった生き物扱いという点では日本版と同じで、日本人が「ゴジラ」と呼んでいたことは作中で表現されているのですが、その「ゴジラ」といった意義があるのはその表面部分だけで、上記の内面性を抑えていてほしかったものです。

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▲オープニングでの核実験。卵とトカゲが出ています

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▲日本船沈没の生き残りの日本人の言葉

また、旧来のゴジラは核をエネルギー、食糧とするので、マグロを食べるのはただの動物扱いされているのもマイナスポイントでした。

しかし、それらは全て脚本に原因があると思います。
 

●脚本について思うこと

特撮映画というよりよくあるアクション、パニック映画のパターンですね。
それが映画のひとつの方向として悪いとは言わないのですが、日本の中期~後期ゴジラでも同様に、ヒロイック・恋人や家族愛・感動を入れるような典型的ステレオパターンですね。ゴジラファンではない万人が見る上では安定しているのでいいんでしょうけど…。

しかしシン・ゴジラの内容とヒットからすると、実は観客はそこを見ていないことが分かったと思います

ストーリーもそうですが、他にも作風やアメリカンジョークもあり、普通のハリウッド映画を見ているかなぁという感じでしたね。
ゴジラである必要がなく、たたのパニック映画とも感じられました。
ゴジラがあっけなくミサイルで倒されることもありますし。

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▲志村ー、うしろー! でも振り向くときは見えないという
 

まあ、そもそもエメリッヒ監督も今作に対しては不満があったそうで、脚本も軽んじらていたのかもしれません

エメリッヒは「当初、隕石が地球を襲う映画の企画をしていたが、東宝から突然本作のオファーが来た」「着ぐるみの怪獣映画には全く興味などなかったが、強い押しがあったので仕方なく受けた」「だが今度は『ゴジラが人を食べない』といった細かいルールを提示されたので嫌気がさした」「なので、いい加減な脚本とデザインを提出し『これなら、あちらから断るだろう』と思っていたらゴーサインが出てしまい、仕方なく撮影に入った」「もし、当初の予定通りに隕石の映画を撮っていれば『アルマゲドン』や『ディープインパクト』を上回る作品が撮れたはずだ」等といった旨の相当な本作に対する不満を述べている。

引用:wikipedia
 

個人的にはゴジラのデザイン自体は新しくて悪くないと思ってるのですが、いかんせんそれを活かすための脚本や設定が悪いので余計評価が低い扱い、もはや叩かれた結果になったんだろうなぁと思います。

ちなみにファンは今作のゴジラ(怪獣自体)を「zilla」と呼んだりしています。
ゴジラは元々「Godzilla」が正しいスペルですが、そのGod(神)を無くすという蔑称です。

なお、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」でも「アメリカにもゴジラに酷似した巨大生物が出現し、『ゴジラ』と名付けられたが、日本の学者は同類とは認めていない」と言われたり、ゴジラ FINAL WARSでもザコ扱いになっていたりと色々と不遇な存在になっていますね…。
 

●上映時間が長い

138分です。約2時間半です。

にしても、アクションシーンばかりが多く、ストーリーも単調なので途中で見ていて退屈になったりしました…。
シン・ゴジラの会話シーンのテンポを見て、余計にそう感じてしまうのかもしれません。
 

その他、適当に気になったところをいくつか

●冒頭日本船シーン

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冒頭、洋画なのに日本人がうどん食べてて、日本の映像(相撲)を見ているシーン。
ブレードランナーを思い出しましたねw

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その船はマグロ漁船。
マグロマグロと揶揄されているzillaですが、やはりマグロは冒頭からキーアイテムだったようです。

●ヒロインのおっぱいはちっぱいでは…

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ヒロインは上司から「しゃべるおっぱい」と言われてるらしいが…

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うーんw

●街を甚大に破壊しているのは人間自身

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ゴジラ討伐のため軍が戦闘機などを送り出しますが、その攻撃でたくさんのビルを破壊してしまいます。
マディソン・ガーデン・スクエアも結局自分たちで破壊しますしw

作中、市長候補が軍にモンスターはおまえらだ!と怒るシーンがあります。この件はちょっと面白かったですw
ビオランテ風に言えば、「本当の怪獣はそれを作った人間です」でしょうかw 

●エンドロールに田中友幸氏へのコメント

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田中友幸氏は初代ゴジラのプロデューサーです。
 

●日本版ポスターの自由の女神

自由の女神が映っていますが、作中では出てきませんw
 

●序盤はちょいグロシーンがあるので食べながら見るのは控えたほうが吉

ミミズがうじゃうじゃ出てきますw
パスタやうどん食べながら見ないほうがいいですよw
 

総評

繰り返しになりますが、「普通のハリウッドのパニック映画」ですね。
ゴジラ映画として見ないほうが健全なかもしれません。

なかなかゴジラ自体も日本独特のガラパゴス的なものなので、外国の方には理解されづらく制作される部分もあるんでしょうね。
それもあって2014年レジェンダリー版ゴジラに続くわけですが。

ファンからは散々評価が低い作品ですが、個人的にゴジラのデザインだけはCGの恩恵もあり新しいと思いました。
確かに着ぐるみの二本足でのしのし歩くこそがゴジラだ!とは思いますが、固定観念だけでは新しいものは生み出せませんからね…。
脚本や設定によって不遇の扱いになってしまった感あると思います。
 

近々レジェンダリー版ゴジラの感想も書きます。
現在執筆中。