「ゴジラVSキングギドラ」感想。キングギドラとの対決がアツイ!…考えるんじゃない、感じるんだ!

2019年4月15日

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出典:http://yojimbonoyoieiga.at.webry.info/

シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想。
「ゴジラVSキングギドラ」。1991年12月公開。

個人的評価:80点

前記事「VSビオランテ」でも書いたように、今作から平成シリーズの方針が変わり、大人向けではなく、娯楽・エンタメ、子供、ファミリー向けが重視された作品にシフトしていきます。

個人的には前作VSビオランテのような作品を望んでいたのですが、商業的理由を考えると仕方ないですよね…。

さてさて、今作「ゴジラVSキングギドラ」の感想を書いていきます。

予告

 

面白いところ

●何はともかくキングギドラ登場。これに尽きる。しかもメカキングギドラもカッコ良くてバトルがアツイ。

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ゴジラの宿敵でもあるキングギドラとの対決作品。これまでのシリーズにもキングギドラは出てきたけど、タイトルに「キングギドラ」と冠されたのは初めての作品

そしてメカキングギドラ、これもまたカッコイイ。キングギドラ自体がカッコイイのに、さらにメカバージョンですからね。

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▲メカキングギドラや操縦席からの視点も良い演出。アツイ!

余談ですが、キングギドラはゴジラの宿敵として、強くて人気もあるイメージの怪獣だと思います。しかし先日から改めて昭和のゴジラシリーズを見直したのですが、実はキングギドラ、これまでのシリーズで目立った功績やカッコイイシーンって実はそんなにないんですよね><

●怪獣同士のバトルや演出がさらに向上

こちらも前記事に書きましたが、前作からの体内放射、メカキングギドラ登場の光の演出、キングギドラの首撒き付きからのゴジラの泡吹きなど、昭和の怪獣プロレスに比べるとちゃんと演出の意図も見えてカッコ良く、面白くなってますね。

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▲前作ビオランテからの体内放射。

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▲メカキングギドラ降臨。

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▲撒き付きによる首絞め。なお撒き付く瞬間の撮影は逆再生だそうです。(よく見ると撒き付いてるギドラの首や頭の向きがちょっと残念な感じw)

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▲泡などの演出も良いですよね。

●ラスト決戦の舞台が新宿の東京都庁!

東京都庁完成は1990年12月。その1年後にこの映画が公開です。この辺りの時代からビル群も高くなり、それに合わせてゴジラの身長も80mから100mに大きくなりました。なお、東京都庁は243mだそうで、こちらを見ると都庁とゴジラの大きさが分かります。

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新堂会長とゴジラのやり取り

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かつて、自分たち日本兵を救ってくれたゴジラ(ザウルス)。しかし、現代ではそのゴジラが日本を破壊、ゴジラと新堂会長と見詰め合い、そして熱線で新堂会長のビルを破壊します。

改めて自分なりに今作を見直して思ったのは、初代ゴジラのテーマに近いところだなぁと思いました。
「日本の文明発達、繁栄の奢りと核への罰」でしょうか。

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▲ゴジラザウルスが核によってゴジラに。

ゴジラザウルスはラゴス島でアメリカ兵などの銃撃によって瀕死になりますが、その後、ビキニ環礁の核実験でゴジラになってしまいます。三枝未希は「いっそこのまま死んだほうがこの恐竜にとって幸せだったのかもしれない」と言います。やはり人間の核はゴジラにとっても恨み、呪い、忌まわしきものなんでしょうね。

新堂会長はゴジラザウルスによって一度は生かされた命です。しかし、彼は日本が経済大国になる礎を築いた帝洋グループを作り、その新堂グループは原子力潜水艦まで保有している程。そして未来人が言っていた日本の1つの未来に、海外へも領土を広げる超大国、繁栄に奢ってしまうとの発言がありますが、そこまでの繁栄に溺れてしまう国になってしまったのも新堂会長の帝洋グループがあったからこそだと思います。

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▲これは原子力潜水艦の模型でしょうかね。

ゴジラザウルスは(たまたま偶然にしても)自分が身を挺して助けた日本兵、新堂がその後どのような生き方をするかと思ったら、忌まわしき文明の核をも保有する人間になってしまっていた、ということで、罰を与えたとも解釈できるかなぁと個人的に思っています。

また、当時の日本兵やゴジラザウルスのどちらかが死んでいたら、今の自分たち(新堂やゴジラ)、新堂やゴジラの対峙自体がなかったと思うと、これも歴史は皮肉なものにも感じますね。この作品も歴史、ifをテーマにしている部分もありますから。

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▲「今現在この国はどうか? 一見平和そうだが、行き詰っていないだろうか?」

この発言も「恐竜(ゴジラ)はいつも見守っている」ということもあり、経済大国になりつつも行き詰った日本を破壊しに来たとも取れますね。
リアルの現代もIT技術や便利になった世の中ですが、考えさせられる発言です。

また、恐竜の文字をゴジラに置き換えると面白い。しかしゴジラは人間の味方でも救世主でもありません(ハリウッド版ゴジラはラストで「救世主か?」と言ってましたけど)。それはシン・ゴジラでも顕著に表れていましたよね。

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▲ちなみに新堂会長の俳優、土屋嘉男さんは「怪獣大戦争」のX星人統制官役をやっていますw

人間の傲慢、身勝手さもこの作品の面白さ

キングギドラを倒すためにゴジラを復活させよう!
→ゴジラが勝った!
→今度はゴジラが日本の敵!
→じゃあ今度はゴジラを倒すためにキングギドラを復活させよう!

音楽がカッコイイ

今作の音楽は伊福部昭先生です。ゴジラのテーマを作ったりと昔からゴジラ音楽を作っていた方です。

ちなみに個人的に気付いたことですが、「ゴジラ対キングコング」の音楽を聴いてようやく知ったのですが、VSキングギドラのメインテーマは対キングコングのBGMのアレンジだったんですね。

でも、何故この曲のアレンジなんでしょうかね。

自分なりの予想ですが、ゴジラ(1984版)、VSビオランテと伊福部先生作曲ではなく、今回で久々のゴジラの曲、しかも人気のあるキングギドラが登場ともなると、大ヒット作の対キングコングBGMを持ってくるというだけの意気込みがあったのでしょうかね。

ちなみにVSデストロイアでのエンドロール曲でも対キングコングの曲がメドレーとして流れるのです。大ヒット作の音楽ということで伊福部先生なりに思い入れや何かしら意味があるような気がします。最も聞かれた敵の曲、ということもあるのかな?

映画冒頭の入りがカッコイイ

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2204A.D.
オホーツク海沖
海底の中、
男「あれが?」
女「そう、あれがキングギドラ」
男「なんていう大きさだ。おまけに首が2つも。」
女「…いえ。本当は3つ」
男「3つ?」
女「ゴジラとの戦いでキングギドラは頭を1つ失いました」
男「キングギドラがゴジラと戦ったというのか?」
女「そうです。20世紀の終わりに」

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そしてデーン、デデデデンデーン!という伊福部BGMとともにゴジラとキングギドラが対峙、タイトルロゴが現れるのはカッコイイです!
フォントもカッコイイんですよねぇ。

他、気になった点やツッコミどころ、小ネタなど

◇タイムパラドックスについて

この作品はタイムトラベルがあるシナリオなのですが、矛盾点やツッコミどころがあり過ぎな作品ですw ですが、もはや細かいことはツッコまず、楽しんだもの勝ちな作品ですねw …考えるな、感じるんだ!

◇それでも敢えて個人的にタイムパラドックスにツッコミを入れたい点

◇1. この映画のシナリオでは、戦時中にゴジラをベーリング海にテレポーテーションさせることで、1984年、VSビオランテのゴジラはいなかった世界線になるわけです。となると、ゴジラVSビオランテの話自体もなかったことになりますし、三枝未希もゴジラチームに選ばれてませんよねw しかもそれ以前にこのゴジラ対策チームも存在してませんし、この世界線自体一変してると思いますけどw

加え、北海道にて核を2発食ったゴジラを見て、三枝未希は「前よりもおおきい…」と言っていますが、それまでゴジラを見ていないのに何と比べて大きいと言ってるのでしょうか…w 

◇2. ラストでゴジラが新宿に来たとき、メカキングギドラが登場、ゴジラの破壊までに間に合った! …ってあれ、タイムワープできるんなら、ゴジラが新宿に来てからじゃなく、そもそももっと前にワープしてればいいんじゃね? というw

●博多の焼き鳥屋台の名前は「らごす」

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●立体映像なのにエミーの髪の毛が風でなびいている

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●ドラットの造形がひどいw

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これは制作陣も分かっていたようですw 制作時間が無かったと言っていたような気がします。

●アメリカ兵、ゴジラザウルスに「Nice to meet you!」と叫んでいるのが笑えるw

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字幕には出ませんがそう叫んでいますw

●M11、特にカーチェイスなどのシーン

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これはもはや伝説級の酷さですw

●キングギドラの首がもげたときの金粉

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撮影所が金粉だらけになってひどかったと聞いたことがあります。

●ゴジラ、札幌で転ぶ

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この転ぶシーン、実は演技で転ぶんじゃなくて、穴が思ったより近くにあって本当に転んでしまって、それが逆に良いシーンになったそうですw

●ギドラの体当たりで都庁大破壊

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実はこの撮影前に都庁のセットが壊れてしまって、慌てて修理したのだとか。

●メカキングギドラの操作が適当w レバガチャにしか見えないw

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●操縦席でちゃんとベルトしてるのに何故か外れている件

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▲役に立ってねーw

●当時のCG技術

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今作からCGが使われるようになりました。1991年、当時の日本のCG技術はこんな感じで、生ポリゴンでテクスチャーもありませんでした。

ちなみにゲームで言うと、同年11月21日スーパーファミコンが発売された年でした。ゲームで3DCGを使ったものは、スーパーファミコンでは1993年にカセットにスーパーFXチップを積んだスターフォックス。ゲームセンターのバーチャレーシングは1992年とのことです。なお1991年、同年にターミネーター2が公開されCGでも話題になりました。

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▲ターミネーター2(洋画:1991年)
出典:http://meshifuroneru.seesaa.net/

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▲バーチャレーシング(アーケード:1992年)
出典:youtube

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▲スターフォックス(スーパーファミコン:1993年)
出典:youtube

●ゴジラ捕獲作戦が意外にお粗末w

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▲ゴジラの必殺技の熱線に対して何も対策していないw どんな技術や科学力を持った23世紀人だよw

●ラストの目覚めるゴジラ

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泡の表現が良いですよねぇ。

総評

シナリオはツッコミどころ満載ですが、難しいことを考えず、娯楽作品として見れば楽しい作品だと思います。(メカ)キングギドラとのバトルが見たい、平成シリーズのVSメカゴジラにも繋がっている作品でもあるのでオススメです。

※なお、記事中の制作秘話は当時発売していたムック本の記憶です

 

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