2019年5月31日公開の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を観てきました。
昭和からゴジラが好きで、当ブログでもこれまで全シリーズの感想を書いている私です。
日本のゴジラに愛着があり、ハリウッド版(エメゴジ、ギャレゴジの2作)は正直「まあ、こんなものかな」と言う印象でした。
そういう意味で今作は実はそこまで期待しないで観に行ったわけですが、ハリウッドの前2作と比べると面白かったです。
個人的評価:65点
ちなみに上映時間は2時間20分程。
ネタバレあり記事なので、この記事を観ている方は既に視聴済みという前提で書いていきます。
PV
面白かったところ
ハリウッド最高技術での怪獣プロレス
今作ではゴジラ以外にモスラ、ラドン、そしてゴジラの宿敵と言えるキングギドラが出てきます。
これらは日本でも人気怪獣なわけですが、今のハリウッドの最高技術のCGでこの怪獣たちのプロレスが観られたのは嬉しくて良いもの見せてもらった感じですね。
もうこの先、こんな費用と技術をかけてこの怪獣たちが観られる機会なんてないんじゃないでしょうか…^^;
キングギドラとの対決はちゃんとグリグリ動いてのプロレスが観られて良かったです。
キングギドラに関しては、ゴジラシリーズでは前作のアニゴジ(GODZILLA 星を喰う者)ではストレスが溜まる思いをした人も多かったのでは…。
過去シリーズリスペクトやオマージュ
ファンが「これが観たい」という場面を見せてくれました。
中盤、南極でのゴジラ対ギドラの開幕での対峙。
▲私が大好きな「ゴジラVSキングギドラ」を彷彿とさせる真横からのアングルもありました
ラドンは今作でも結局かませ役みたいになっちゃったのですが、ちゃんと最初に飛行シーンでその風圧の凄さや戦闘機のシーンが観られて良かったです。
このゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラは昔の昭和ファン(自分の世代よりも前)からすると「三大怪獣 地球最大の決戦」を彷彿させる人気怪獣たちです。
他にも
・世界各地で沢山の怪獣が現れるのは「怪獣総進撃」、アニメ「GODZILLA-怪獣惑星」(アニゴジ第1章)のあらすじ(小説版)を思わせる
・世界観が繋がっている「キングコング: 髑髏島の巨神」にも出てきたクモンガ
・初代ゴジラを倒したオキシジェンデストロイヤー(※ただし後述)
・メルトダウン寸前の「ゴジラVSデストロイア」を思わせる赤いバーニングゴジラ
・モスラといえば双子の小美人の存在
・エンドロールの初代ゴジラのスーツアクター中島春雄さん、2014年ハリウッドに企画を持ち込んだゴジラ対ヘドラの坂野義光さんのクレジット
など過去作が分かる人なら嬉しいファンサービスで、監督・制作のゴジラ愛を感じましたし、ゴジラ映画を観に来てるという感じにさせられましたね。
BGM
▲これは平成版「ゴジラVSモスラ」の小美人コスモスによる歌
ゴジラやモスラのテーマは有名ですが、ちゃんと劇中でも使ってくれたのは往年のファンは感激だったと思います。
その2つのテーマのアレンジも、最初はちょっと分かりづらくて分かる人だけ分かる演出にしてるのもちょっとニクいw
エンドロールでは伊福部昭さんのゴジラのテーマやモスラのテーマがアレンジなしでちゃんと流れます。
これも往年のファンからすると「ゴジラ映画を観た」という感激に包まれたんではないでしょうか…!
イマイチなところ
人間ドラマ
まあ、上記の怪獣たちやリスペクトなどが観られて満足ではあるんですが、人間ドラマは正直微妙でした。
上映時間は2時間20分程で、人間ドラマにも結構尺を割いていますが、内容も薄味でもっと短くて良かったと思います。
ちょっとそれによってテンポも悪い感じがしました。
ストーリー的な部分で環境破壊をテーマにしているのは良いかなと思います。
ただもっと細かい視点で見ると、登場人物たちの行動がアホっぽいですし、演出として何かピンチになったとき、その寸前でいつも不可抗力で助かるのワンパターン過ぎなのでどうなかなぁとw
妻のエマ博士の行動原理としては、学者はマッドサイエンティストな一面性はあるものだし、組織の大義名分に賛同するのも分かるので自分としては問題ないです。
エマ博士と娘マディソンが軟禁され、娘一人で脱出しますが、警備ザル過ぎですw
後半、子供を助けるにしても、わざわざ危険を犯してゴジラやキングギドラが戦っている足元に行くのもアホ過ぎだなぁと思いました…w
そして娘が何処に行ったか、「HOME」ということで何故か球場のすぐ側の我が家があり、そこに行ってまさにビンゴで娘を見つけ出しますが、そんな偶然ってあるんですかねぇw
まあこの辺りはザ・映画でご都合主義、万人向け的なアクション、感動、救出シーンとしてはしょうがないとは思います…^^;
自分が大好きなシン・ゴジラももちろんご都合主義がありますが、それでもリアリティを感じたので、シンゴジ観た後だと余計にドラマティックのためにご都合主義というのを強く感じちゃいますねw
とは言え、これまでゴジラ映画も色々見てきて、いかに人間ドラマとの両立は難しいか、ということも分かりますが^^;
怪獣が戦う場面は暗いシーンばかりで見づらい
怪獣たちが戦うのも、夜など暗いシーンばかりだったので残念でしたね。
それによって暗くて何してるかよく分かりづらかったり、折角の怪獣たちもよく見えない部分も。
他細かいところなど色々
芹沢博士の死
中盤、芹沢博士がゴジラを復活させるために核を使って一人、ゴジラが眠っている海底に赴きます。
これは初代ゴジラのラストの芹沢博士のオマージュであり、そして今回は「ゴジラを倒すためではなく復活させる」のが因果を感じました。
▲初代ゴジラでのラストシーン。同様に芹沢博士が海底に潜り、ゴジラと死にます
このゴジラを起こすシーンや「ゴジラVSキングギドラ」もそうなんですが、それまでゴジラを敵扱いしてたのに手の平返して人類の味方にしようとするのが、まさに人間のエゴが現れていて良いですw
この辺りの人類の動きは「ゴジラVSキングギドラ」も見ると楽しめますよw
モンスターゼロとRODAN(ロダン)の名前
キングギドラは作中モンスターゼロと呼ばれますが、「怪獣大戦争」でのX星人のキングギドラの呼び名。
ラドンは英語ではRODAN(ロダン)と呼ばれますが、こちらは元々「空の大怪獣ラドン」でのラドンの海外名がロダンで、それがアメリカでは定着しているからだそうです。
俳優はロダンと言ってますが、日本語字幕ではちゃんとラドンと言っています。
吹き替えは観てませんがおそらく同じではないでしょうか。
この辺りの名前についてはパンフレットにも書いてあります。
怪獣と人間が対峙、触るシーン
怪獣も太古の神のように意思を持っている存在と作中でも言われますが、怪獣と人間が対峙して言葉を語らずに分かり合うようなシーンや怪獣に触れたりと、個人的にはちょっと「おや?」と感じました。
個人的にですが、私としてはこれまでゴジラシリーズを観ていて、特にゴジラは人知を超えた畏怖の象徴とも感じているものですから…。
まあ、昭和のゴジラシリーズのように正義の象徴としてのゴジラもいましたし、今作のテーマやアメリカならでは正義の象徴、ヒーロー像としてぴったりなのでしょうね。
ここは作品のテイストもあり、私はそれでも日本のゴジラが好きで、仕方ないんですが、そうした日本文化の精神性というのものが今作のゴジラでは感じられないかなぁと思いました。
オキシジェンデストロイヤー
▲初代ゴジラで唯一ゴジラを倒せる悪魔の兵器「オキシジェンデストロイヤー」
初代のゴジラで登場したゴジラを唯一倒した悪魔の兵器です。
今作にはミサイルのようなカタチで出てきて発射しますが、ちょっと名前だけ借りた感じで安易すぎかと…。
初代ゴジラの芹沢博士はこれは二度と使ってはいけないと警告し、命を落とすんです…。
まあ、このオキシジェンデストロイヤーもいきなり出てくるもんですから、名前を知ってればニヤリとするくらいのファンサービス的なものなんでしょうけどねw
キングギドラについて
ちゃんと宇宙から来たという設定を言っているのは良かったですね。
宇宙怪獣なんですよ、キングギドラは。
「三大怪獣 地球最大の決戦」がキングギドラの初登場作になりますが、そこではかつて金星にあった高度な文明を3日間で滅ぼした設定になっています。
なので、その宇宙怪獣の設定をリスペクトし、今作も宇宙からの侵略者で地球の怪獣たちと戦う構図になるわけです。
また、作中では3つの首それぞれに意思があるのは面白かったですね。
個人的にはエヴァのMAGIシステムを思い出しましたw
ちなみに鳴き声はあのエレクトーンのようなケロケロした鳴き声だと良かったですけどねぇ。
…まあ、迫力がないのかな?w
余談ですが、当初キングギドラの体の色は金色ではなくブルーグレーだったそうです。
完成した着ぐるみは青い体(岸川靖によれば、ブルーグレー調に塗装されていたという)に虹色(実際の塗色は赤・黄・青のグラデーションになっている)の羽根であった[注 6]が、撮影本番直前になって、当時スクリプターを担当していた鈴木桂子が円谷に「金星から来る怪獣なので、私、金色かと思ってました」と話したところ、それを聞いた円谷がたいへん気に入り、金色に塗装し直された
出典:https://white.ap.teacup.com/
金色は大英断ですよね!
モスラとラドンについて
モスラはこれまでの日本のシリーズだとゴジラより雄々しく、大きな存在として登場していて、地球や大地の化身のような存在になっています(なのでモスラが登場する映画では環境破壊をテーマにすることが多い)。
そしてこれまでのゴジラ映画でゴジラが負けたことがある相手でもあります。
なのですが、今作ではあまり見せ場が感じられませんでしたね。
まあ、ゴジラが主役なので分かりますが(キングオブモンスターズ=ゴジラ)、超個人的にモスラの方が実は格が上というのは往年のファンとしては感じたかったですw
(これは仕方ないw)
あと、モスラの繭が滝の中にあり、作中で観られないのは残念でした。
ラドンも同じくかませ役っぽくて(まあゴジラとキングギドラが出てくるのであれば仕方ないw)、先ほど書いた見せ場があるのは良いのですが、キングギドラの配下のような存在であったのはちょっと残念でした。
ラストでゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラが集まったときは、まさか「三大怪獣 地球最大の決戦」のオマージュ来るのか!?とちょっと興奮したのですが…w
ラストシーンについて
これも超個人的ですが、キングオブモンスターズというサブタイトルもあり、ゴジラが怪獣の王との存在で、周りにゴジラを崇めるように怪獣がわらわら集まりますが、これはちょっと違うかなぁ…と感じました^^;
(ちなみにこれは中盤、逆にギドラが崇められるような中心の存在となっていた対比でもあると思います。)
やはりゴジラシリーズでの昭和中期のような怪獣の王みたいなゴジラ像なんでしょうね。
それは今作でテーマが一貫していたのは理解できるんですが、超個人的にはちょっと「う~ん…?」という感じでした。
個人的にですが、ゴジラって「王」とかそういった特別な敬称みたいなのっていらない存在だと思ってるんですよ。
特に平成ゴジラやシンゴジが自分の中での一番のゴジラ像なのですが、やはり人知を超えた畏怖の存在と思っているので、生物・モンスターとしての王とかはちょっと違うかなぁ…と。
ココが日本ならではの八百万神だったり、見えないものを信じるような精神性や魂で、アメリカではあくまで生物・モンスターとしたアメリカでのゴジラ像の違いなんでしょうね。
それはこれまでのハリウッドのエメゴジやギャレゴジを見てて、日本とアメリカの文化や価値観の違いを見受けられました。
(もちろんそれが良い悪いの話じゃないですよ)
…まあ、この辺りの言いたいことは、分かる人だけに分かってもらえたら良いなと思いますw
そういえばマンモスのような怪獣って何なのでしょうか…?w
エンドロール後のギドラの首
ギドラの首を組織の隊長が買い取るシーンで終わります。
これってまさかメカキングギドラの暗示…?
シーンもさながら平成「ゴジラVSキングギドラ」好きな自分としては気になってしまいましたw
次回作はゴジラVSキングコング(邦題未定)ですが、まさかメカキングギドラ…出ないよね?w
最初ゴジラとコングが戦ってて、そこにメカキングギドラ登場、ゴジラとコングが共闘とかw(うーん、期待と不安)
そうそう、今作公開前に今更「キングコング: 髑髏島の巨神」を観たのですが大正解でしたね。
海底での空洞トンネルやキングコングのことなど世界観や話が繋がっているので。
総評・まとめ
冒頭にハリウッドのゴジラはそこまで期待してなかった、中盤では日本ゴジラならではの精神性みたいのはあまり感じられなかったと書きました。
まあ、こればかりは仕方ないと思っているのですが、それでも今作はゴジラ好きとしても楽しめました。
ストーリーや人間ドラマは…まあ仕方ないでしょうw
これは毎回ゴジラ作品が出るたびに言われることでもありますし、なかなか両立も難しいと思いますw
(なので、シンゴジはそこを振り切ったことが大英断に繋がったわけですが)
とにかく、ハリウッドの莫大な金や最先端技術でゴジラ、モスラ、ラドン、そしてキングギドラがグリグリ動いて怪獣プロレス、往年のリスペクトやオマージュ、BGMがあり、制作のゴジラ愛も感じられて十分でした。
ある種、怪獣映画は大の大人が童心に戻って怪獣プロレスや街を破壊したりするのを娯楽として楽しく観るのが良い楽しみ方の一つだと思いますw
まあ、私はマニアの意見ですが楽しめましたし、これまでゴジラを観たことがない一般の人がより楽しめる娯楽映画で、その迫力を楽しめる作品だと思いましたよ。
ちなみ私はこれまでのゴジラシリーズ全ての個人的感想記事も書いていますので、良かったらそちらもご覧ください。
→ゴジラシリーズ、全作品の個人的評価まとめランキング表。未見の人へのオススメ度も。
なお、これまであまりゴジラを観ていない方で、今作で過去シリーズ(キングギドラやモスラ)が気になった人は
ゴジラVSキングギドラ
ゴジラVSモスラ
ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総進撃
あたりが入りやすくて、家族でも安心して観られるのでオススメだと思いますよ。
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