前編「前編【ネタバレあり】漫画「新世紀エヴァンゲリオン」全巻感想。アニメと異なるラストシーンや改めての気付き」からの続きです。
●マリの秘密
14巻巻末には書き下ろしで夏色のエデンという短編のサイドストーリーで、碇ユイの大学時代の話があります。
結論からいうと、マリはアスカの母親説を濃厚にしている内容です(散々考察サイトでも言われていますが)。
母親説については
・弐号機とのシンクロが可能
・昭和の歌を歌うシーンがある(世代が上)
・エヴァの呪縛で年を取らない設定
・ゲンドウをゲンドウ君と呼ぶ、レイのオリジナル(ユイ)はもっと愛想がよかったと言う
・弐号機のビーストモードを知っているのは、自分が開発に関わっていたから知っていた
・キョウコ(アスカの母親)の魂が弐号機の中に取り残されたものが一部サルベージされた、またはキョウコからクローンがつくられた
テレビ版からのキョウコは実験で廃人になってしまったという設定にも合点がいく
・Qのシンジと冬月が将棋を指しているときの写真にマリに似ている人物がいる
といったものです。
この短編はそれらを濃厚にするものですね。
短編では
・ゲンドウやユイと一緒の大学に通っていたことが描かれる
・ゲンドウくんと呼ぶ
・マリのメガネは元々はユイのもので彼女からもらう
・最後にその謎の女性はマリ、といった名前が表記される
と描かれます。
他、短編で面白かったのが、あまりアニメではよくわからなかったユイの描写が多いです。アニメ版では美人で頭が良いくらしか分かりませんが、漫画版では性格も良く、更にドジっ子ぶりを見せてくれたりしますw それは先のレイのオリジナル(ユイ)の愛想が良かったに通じます。
マリはユイのことを好きで百合を思わせる部分もw
これ以上気になる人は実際に読んでみると面白いと思いますw
ただ、そのサイドストーリーの内容が新劇場版と同期しているかは謎ですw
でも、エヴァQの公開日は2012年11月、その最終巻発売は2014年11月と考えると、意味や関連はあると思いますw
●1巻巻末の所信表明文
1巻巻末には庵野監督の所信表明文が載っています。
「我々は何を作ろうとしているのか?」のタイトルが新劇場版所信表明文と同じです。
内容で改め気付いたこと、忘れていたことは下記です。
・ミサトも主人公である
・エヴァ本来のテーマ
「生きていくことは変化していくことだ」
私はこの物語が終局を迎えた時、世界も、彼らも変わっていて欲しい、という願いを込めて、この作品を始めました。
それが、私の正直な『気分』だったからです。
引用:新世紀エヴァンゲリオン1巻巻末
エヴァの魅力は色々あり、ストーリー展開や設定、難解な用語、演出など、斬新、奇抜、斜め上といったもので、つい表面的なそこに目を奪われますが、本来のテーマは内面的な登場人物のお話です。
シンエヴァがどうなるかについてもこの点は外せないと思っています。
・監督はエヴァ制作以前、壊れていた
テレビ版エヴァの前の作品は、ふしぎの海のナディアですね。
そういえばネットの記事などのインタビューにもそれっぽい経緯や発言を見たことがありました。
さらに監督はテレビ版後半、旧劇場版制作時は病んでいたような感じですし(作品に反映)、そしてエヴァQ制作後も壊れていたのことです。
監督は1作品全力入魂としているからこそ、その代償もあるんでしょうけど、その作品のために魂を削って創る、壊れてもまた立ち上がって作り続けることに自分は尊敬と感銘をおぼえました。
昔、エヴァの登場人物は庵野監督自身である、といった記事を見たことがあります。
まさに新劇場版での所信表明文がシンジの生き方ともリンクしていると感じました。
「エヴァンゲリオン」という映像作品は、様々な願いで作られています。
自分の正直な気分というものをフィルムに定着させたいという願い。
アニメーション映像が持っているイメージの具現化、表現の多様さ、原始的な感情に触れる、本来の面白さを一人でも多くの人に伝えたいという願い。
疲弊する閉塞感を打破したいという願い。
現実世界で生きていく心の強さを持ち続けたい、という願い。今一度、これらの願いを具現化したいという願い。
そのために今、我々が出来るベストな方法がエヴァンゲリオン再映画化でした。
10年以上昔のタイトルをなぜ今更、とも思います。
エヴァはもう古い、 とも感じます。
しかし、この12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした。閉じて停滞した現代には技術論ではなく、志を示すことが大切だと思います。
本来アニメーションを支えるファン層であるべき中高生のアニメ離れが加速していく中、彼らに向けた作品が必要だと感じます。
現状のアニメーションの役に少しでも立ちたいと考え、再びこのタイトル作品に触れることを決心しました。映像制作者として、改めて気分を一新した現代版のエヴァンゲリオン世界を構築する。
このために古巣ガイナックスではなく自身で製作会社と制作スタジオを立ち上げ、初心からの再出発としました。
幸いにも旧作からのスタッフ、新たに参入してくれるスタッフと素晴らしい面々が集結しつつあります。
旧作以上の作品を作っている実感がわいてきます。「エヴァ」はくり返しの物語です。
主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。
わずかでも前に進もうとする、意思の話です。
曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、覚悟の話です。
同じ物語からまた違うカタチへ変化していく4つの作品を、楽しんでいただければ幸いです。最後に、我々の仕事はサービス業でもあります。
当然ながら、エヴァンゲリオンを知らない人たちが触れやすいよう、劇場用映画として面白さを凝縮し、世界観を再構築し、誰もが楽しめるエンターテイメント映像を目指します。2007年初秋を、御期待下さい。
原作/総監督 庵野秀明
2006 09/28 晴れの日に、鎌倉にて
引用:ヱヴァンゲリヲン新劇場版所信表明
シンエヴァが楽しみです。
内容がどうなるかも、テレビ版、旧劇場版を見ても同様にエヴァ根底の本来のテーマは一貫していると思います。
公開日も体調のことがあるので、自分は急がないでゆっくり良いものさえ創ってもらえれば、と思っています。
総評
単行本を全巻読み直し新たな発見がありました。
特に1巻巻末所信表明と14巻のラスト、描き下ろし短編は読んで良かったです。
同時に自分はエヴァが大好きで、すごく影響を受けていることを改めて感じましたw
魅力は沢山ありますが、特に前衛的、革新的、発想、こだわり、そして意思だと感じています。
14巻、まだ読んでいない人がいたらオススメです!
↓↓↓2021.3.11、シンエヴァ感想記事(ネタバレ)を書きました。是非ご覧ください↓↓↓
ツイッターではエヴァのことなどつぶやいたりもしているので、エヴァ好きの方、良かったらフォローお願いします。