【映画】吃音者が見た「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」感想。自身の吃音体験談、克服法や考え方【その2】
その1からの続きです。
自身の吃音について
まず自身の吃音の体験談を書いてみようと思います。
子供の頃
祖父と父親が吃音だったので、おそらく自分は遺伝だと思います(他の兄弟は吃音でないですが)。
ただ、遺伝というのも先天的な肉体部分に作用したものかもしれないし、子供のとき親の喋り方を無意識に覚えてしまう後天的なもの、どちらか分かりませんし、両方の可能性もあるかもしれません。
吃音持ちと言いつつも小学校の頃は明るい性格で良く喋っていた方でした(子供ながらの無邪気で、悪く言えば何も考えていないだけでしたが)。
しかし小学校高学年のとき、あるクラスメートの父親と自分の父親が知り合いだったのですが、そのクラスメートが「お父さんと同じ話し方するね」と言われて初めて自分が吃音であることに気付きました
誰でも思春期では特に自身のコンプレックスを気にするものですが、とは言え、中学高校でも周りで吃音について言ってくる人もいなかったので、自分は吃音をそこまで気にしなくてなかったと思います。
周りが気を使ってくれたり、気にしてなかったかもしれないし、真相は分かりませんけどね。
そこは幸せだったかもしれません。
大人になってから
しかし特に気にするようになったのは確か20歳過ぎてからアルバイトをしたり、仕事を探したりするときでしょうか。
志乃ほどではありませんが、そうした吃音の症状が重い時期がありました。
電話での第一声や名前を喋るときが本当に嫌でしたねw
志乃同様、特に母音が声に出づらいんです。
ただ、30才過ぎからは軽減されてきました。
何をしたかというと、ゆっくり落ち着いて話す、別の言葉で言いかえたりと、自分の中で工夫するようにしたためです。
第一声が出ない場合は、まずは他の言いやすい言葉を発して、その流れで次の言葉を話すということもしたりしています。
また、随伴(ずいはん)症状と言うらしく、言葉が出ないときに同時に手足など特定の部位を動かしてみると声が出しやすくなったりするので、そうすることもあったりします(後述しますが、それでからかわれたこともありますが…)。
嫌だったこと
吃音も要はコンプレックスなわけですが、ある会社で上司や同僚から物真似されてからかわれたのは辛かったですね。
その上司は悪い人ではないのですが、やはり自身にとってそうした嫌なことは今でも覚えています。
上司に「やめてほしい」と言ってみると「いじってあげてるんだからむしろ良いだろう」と言われました。
確かに一理としては上司から興味がない存在で無視されているより、コミュニケーションを取ってくれるのは幸いとも言えるのですが、やはり当人からすれば辛いものです。
この辺りは会社、学校などの組織、コミュニティでは難しい問題ですよね。
特に会社では上司部下の関係もあったりとパワハラに近い部分もありますので。
ただ、それでも当人が本当に嫌でやめてほしいと言ったらやめてほしかったなぁと思います。
冗談にも節度がありますが、人をバカにして笑いを取るのは個人的に好きではないですね…。
今
以前より軽減はされてきましたが、それでもたまに連発や無声型の吃音で苦労する瞬間もあったりします。
自分は他ブログ記事でyoutubeのゲーム実況動画などもアップしているので聞くと分かると思います。
ただ、一人で喋る場合は落ち着いて自分のペースで喋れるのですが、多人数などでの会話になると、場の雰囲気や緊張、感情の変化などもあって吃音が出る場合もあります。
今だそれによって自分が本来意図した言葉を言えなくて誤解される場合もあったりしますが、まあ仕方ないと思っています。
なお、以下動画の後半部分を聞くと私の吃音の症状が分かりやすいと思います(低い声の方が私です)。
コンプレックスについての私の考え方
映画では「しのかよ」のバンド二人で、吃音持ちで人前で話すのが苦手な志乃が歌を歌い、歌は好きだけど音痴なのでギターを演奏する加代が組むのは、まさに短所を補い合い長所を活かすという点で素晴らしいと思いました。
誰だって自分の短所やコンプレックスは気になるものですが、自分が大人になってから思ったのは、短所を克服するエネルギーや時間を費やすなら長所をもっと伸ばしたほうが良いということです。
短所を克服するのは辛くて膨大なエネルギーを使います。
しかし長所を伸ばすことは自分の強みを更に強くしますし、自分の好きなことや得意分野で楽しいことだと思います。
短所を克服することは、昔の日本の横並び社会としても美徳だったかもしれませんが、今の時代はそうではないと自分は考えています。
youtuberなどが分かりやすいですが、今はむしろ個性が発揮される時代だと私は考えます。
また、今はインターネットがあるので、自分がマイノリティであっても同じような仲間の存在とも繋がりやすいんですよね。
それに何をしてもバカにする人やアンチ、批判する人もいて、その数をゼロにすることはできません。
自分の短所の克服だったり、当たり触りの無い横並びになった無個性の人間になるよりも、長所を伸ばしたり、むしろそのコンプレックス、短所も個性として出していったほうが人生幸せかなと考えています。
そうしたこともあって、自身の吃音も隠すことよりカミングアウトしようと思ったわけです。
色々長くなってしまいましたが、吃音の軽減方法と自身の気の持ちようや考え方を書いたりもして、もしこの記事を読んで吃音者の方や自身のコンプレックスを持っている方の気が少しでも楽になってくれたら幸いです。
総評・まとめ
良い映画でした。
最近の世の中は、色んな障害や症状(例えば後述するLGBT)の人をニュースなどで目にすることが多くなりました。
吃音も同様で、世の中こういった人がいて、こういった思いをしている、ということを少しでも多くの人に知ってもらえたらと思いました。
見に行った映画館
なお、この映画はアップリンク渋谷という小規模な映画館で見ました。
こちらの映画館では今作含め、LGBTなど社会性のある意欲的な映画も上映するようで、大衆的な映画とは違ってこれはこれで素晴らしいと感じました。
こういった低予算の映画(褒め言葉)ももっと増えると良いですね。
関東ではアップリンク渋谷の上映は終了しましたが、11月から下北沢でまた上映するようです。
全国でも上映しているので是非少しでも多くの人に見てもらいたいと思った映画でした。
全国劇場情報はこちら→http://www.bitters.co.jp/shinochan/theater.html
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