シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想、ハリウッド版2作目です。
「GODZILLA ゴジラ 」。2014年7月公開(日本)。
個人的評価:40点
予告
さて、シン・ゴジラを見て、改めて全ゴジラシリーズ見直してる中、最後の「GODZILLA ゴジラ」感想です。
ちなみにリアルタイムで見たときは、まあ面白かったけど、あまり記憶に残ってないなぁという感じでした。
さて、改めて見直しての感想です。
個人的にハリウッド1作目よりつまらなかったです…。
自分でも意外に思ったのですが、散々酷評されているハリウッド1作目よりつまらなく感じてしまいました。確かに日本ゴジラのリスペクトがあるのですが、設定や脚本、演出が面白くなく視聴中退屈でした…。シン・ゴジラを観た後なので余計そう感じるのでしょうね。
良かったところ
●日本リスペクト
ゴジラのデザインが日本版のようなデザインで二足歩行になっていて、ハリウッドならではのCGの新しい動物らしさのある重厚なデザインでした。
悪かったところ
●ゴジラの存在意義とは? ムートーが主役?
劇中の90%は別の怪獣ムートーの話です。
ゴジラのまともな登場シーンや話は10%くらいなのです。
ゴジラが主役、ゴジラの映画じゃないんですか…。
で、ゴジラがようやくその全身で動き、まともに活躍する見せ場は上映から1時間30分後(残り30分)なのです(中盤、ハワイで全身などを見せますが、ごく僅かです)。
しかもその後、ムートーと怪獣プロレスをするのですが、その尺も少ないですし、見どころも熱線や尻尾攻撃くらいしかないです。さらに画面も暗く、スモークがかかっており、何をしてるか良く見えない始末。
▲画面を明るく調整しましたが、実際はもっと暗くてよく分かりませんw
中盤、ハワイでゴジラとムートーが第一戦を交えますが、それも人間が見ているテレビ越しの映像の一瞬で、すぐにシーンは翌日に切り替わってしまい、荒廃した惨状を見せられるだけです。
…まだ視聴者心理としては、戦いのシーンは見どころなので焦らしているのだろうと、後の展開を期待するのですが…。
結果、先に書いたように、まともに登場するのはラストシーンという始末…。そしてそのラストシーンでも見どころが少なく、そして何をしているかよく見えないのです。
▲ゴジラとムートー、初めての戦い!…しかし…
散々焦らしてお預けして期待させておいて、その結果が大したことない出番なんですよね。
映画やエンタメ、ゲームでもなんでもそうですが、緊張と緩和、ストレスと発散のように、視聴者が見たいシーンをいつ、どのポイントで出すかが大切だと思うのです。ゴジラを敢えて出さないストレスがあるからこそ、登場・活躍しての発散として面白く感じるものですが、そのバランスが取れていないように感じました。
出番としても、序盤も日本の原発跡地内の研究施設にいるのはゴジラと思わせておいてのムートーでズコー。
焦らしたり、ミスリードを誘う手も分かりますが、それにしてもゴジラの出番が少なすぎです。
せめて序盤、中盤でもう少し見せたり、動きのある様を出しても良かったんじゃないでしょうか…。
というか、本当にムートーばかりなんですよw
人間ドラマもムートーに関わるものばかりですしw
しかもそのムートーに魅力があるならまだ救いなのですが、魅力も感じない始末なのです…。
日本の平成ゴジラのプロデューサーは、子供が退屈しないために数分置きにゴジラを映像に出すようにと言っていたそうです。今作は大人向きでもありますが、あまりにゴジラを出し惜しみすぎやしませんか…?
シン・ゴジラで考えると、いかに視聴者がこのタイミングでゴジラが見たい!こういう映像を見たい!というのが考えられた作りでした。
自分が意外にも今作よりもハリウッド1作目の方が面白かったのは、それでもゴジラの序盤から暴れ回る様を沢山見ることができたからです。演出的にもスピーディなゴジラで意外性もあり、いかにもハリウッドな既視感ある展開もありましたが、それでも見どころも幾つかありました。
しかし今作のゴジラは登場シーンも少なく、更に見どころも先に書いたように2回の熱線と尻尾攻撃くらいにしかないように感じました…。
●芹沢博士の意味がほとんどない
生物科学者で放射線が生物に与える影響を調査しているのですが、存在意義があまり意味ない…。
「ゴジラ」と言うくらいしか…。←あれ、ハリウッド1作目の日本人と同じでは?w
wikipediaを見ると、今作の芹沢博士は広島の被爆2世らしく、父の広島での体験を提督に語るシーンが企画、撮影も行われたけど最終的にカットされたようです。
うーん、このシーンがカットされたせいもあってか、ゴジラのテーマである「核の恐怖」やテーマというのもあまり伝わってきませんでしたね…。
ちなみに芹沢博士の本名は芹沢猪四郎(せりざわ いしろう)。
1954年ゴジラの芹沢大助博士とゴジラシリーズの本多猪四郎監督から取ったようです。
その他、適当に気になったところをいくつか
●日本の原発施設の職員の多くが英語を話す
日本語が出てくる局面もありますが、英語が多すぎて違和感でしたねw
●折鶴
冒頭、原発施設が破壊されるシーン、さりげなく平和の象徴、折鶴が写っていますね。
●映画だから仕方ないけどご都合主義が目立つ
子供の主人公、原発事故が学校から見える。
退避区域で謎の施設を見た瞬間、丁度施設の人間に見つかってしまう。
主人公が丁度ハワイで乗っていた電車が丁度ムートー出現、壊される。
息子が乗っていたバスが橋を渡るとき、丁度ゴジラが現れ戦闘になる。
ちょっとご都合主義が感じられましたね…。
●アメリカから見た日本が面白い
実際こんなのリアルな日本じゃないwと思いますが、アメリカから見た誤った価値観のジャパン、ニンジャ、サムライ、怪しい日本というのが面白いですw
映画ブラックレインのようなリアルな日本とちょっと違う怪しい描き方が面白いです。
●3.11の惨状を思わせる退避区域
3.11の惨状を彷彿させられました…。
実際に被災地には行ったことはないのですが><
ここは恐怖でもありましたね…。
●水槽に書かれているMOTHRA
ファンサービスでしょうかw
そういえば2019年3月22日公開のハリウッド版ゴジラにラドン、モスラ、キングギドラが登場するらしいですね。
●1950年代の核実験はゴジラを殺そうとした
アメリカは原爆を認めたくないからじゃないか、という意見がありますが、まあ物語なのでそういう発想もあるのかと思いました。
●主人公を取り巻く家族愛、描き切れてる…?
冒頭、主人公の母(ジョー・ブロディの妻)が事故で死んでしまいます。
序盤、その父(ジョー・ブロディ)はムートー出現によって死んでしまいます。
両親を失ってしまった主人公ですが、大人なってからは妻と子、家族ができます。
最後は主人公が家族を守り切る描き方なのですが…うーん、どうなんでしょう…?
(実際核ミサイル処理に失敗するので守れてないのですが)
単に今の自分がまだ未婚で子供もいないからあまり感動できなかっただけなんでしょうかね…。
シン・ゴジラを見てからの感想として余計思うのが、特撮映画でよくあるステレオタイプの家族愛を見せられてもなぁ…と思うのでした。
テーマにもよりますが、まずゴジラが主役でしょう、と思ってしまうのでした。
●ゴジラ、ラストの熱線攻撃がきちゃなく見えるw
まんまですw
●核の威力が大したことがない
ラストで核ミサイルが作動してしまうのですが、眩い光なだけな威力のような見せ方です。
いやあ、実際そんなもんじゃないでしょう…。
そこはアメリカの描き方だから仕方ないのかな…。
●ゴジラが調和の神扱い
ラスト、テレビテロップで「”怪獣王は救世主か?”」と出ます。
ゴジラは正義の味方扱いなんですね。
確かに今作のゴジラはムートーを倒すために現れます。
自身の意志で街を破壊しようとはしていなかったように見えます。
日本とアメリカの価値観の違いもあると思いますが、そこはアメリカがヒーローを求めているから、というのもあるんでしょうかね。
結末で表示される「King of Monsters」(日本語吹替版では「怪獣王」)とは、ゴジラシリーズ第1作の英語版『Godzilla, King of the Monsters!』(日本では『怪獣王ゴジラ』)に由来する。日本、アメリカをはじめとする国々で、ゴジラが持つ由緒ある「称号」である。
引用:wikipedia
上記のように、アメリカでの第1作の影響もあるんでしょう。
しかし調和の神、と聞くと平成ガメラを連想しちゃうんですけど…^^;
総評
世間ではハリウッド1作目が酷評だったせいか、この2作目は高い評価が受けましたが、自分としては今一度見直してみたら面白くない映画だったなぁと思いました…。
公開してから絶賛されていたのは前作との相対的評価があったからでしょうかね。
もちろん日本人と外国人の感性、感想も違うでしょうし、ゴジラシリーズを何処まで見ているか、思い入れがあるかで見方も変わってくるかと思います。
自分はこれまでゴジラシリーズに思い入れがあるので、改めて見直したら、今作のGODZILLA ゴジラ (2014)はあまり受け入れられませんでした。
さて、これでシン・ゴジラを見てからの全ゴジラシリーズの感想記事、全て終わりました。
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