出展:http://oriongogo.blog.fc2.com/
前記事「ゴジラVSデストロイア」感想(後編)の続きです。
シン・ゴジラを見てからのゴジラシリーズ感想。
「ゴジラ2000 ミレニアム」。1999年12月公開。
個人的評価:5点
初見です。
見ていて途中何度も厳しかったですね。でも感想記事を書くために頑張って最後まで見た作品でした><
テーマ、脚本、テンポ、演出、BGMなど総合的に厳しいと思います・・・。
脚本もよろしくないなぁと思いました。どうやら脚本はVSスペースゴジラと同じ方のようですが…。
予告
世界観の説明・描写不足
自分は予備知識なしで今作を見ました。
初代ゴジラの後の設定らしいですが、実際に「ゴジラが出現したらどうなるか」という作中のリアリティが伝わってきませんでした。
こういったフィクション・非現実作品は、それが視聴者にとってのどのような世界観なのかを把握させることが大事だと思います。ゴジラ映画であれば、まず、作中の人々は「ゴジラを知らない世界」なのか、「知っている世界」なのか、です。
今作の場合ですと
・初代ゴジラの後の話
・デストロイアの後の話(そして前作ジュニアが今作ゴジラなのか)
・これまでゴジラが現れていない世界の話
のいずれかになると思ったのですが、それが本編の説明や描写からしてなかなか掴めず、世界観に入り込みづらかったですね。
シン・ゴジラで良かったのは、その世界では人々がゴジラを全く知らない世界観というのが分かり、そして非現実であるゴジラが現れた場合、それに対する人間の行動が自然であったことです。
ゴジラ1984では、初代ゴジラの後の話という説明があり、作中の人々がゴジラを知っている描写や行動が自然だったのでスムーズに世界に入ることができました。
この作品は、たまたま人に聞いて初代ゴジラの後の話と知りましたが、作品を見ていると、初代ゴジラが死んでから、どのようにその世界で時間が経って現在に至り、人間がどのように行動してきたのか、という時間の変遷、作中では見えないリアリティを感じられませんでした…。
作品で大切なのは、登場人物が何を考え、どのように生きて、普段何を食べたり、どのような生活しているかといった「生きたキャラ」がいる世界観が構築されているか、ということだと自分は考えています。ちなみにシン・ゴジラは正にそれを体現していたと思います。
超カンタンなあらすじ紹介&テーマが不明瞭
ネタバレになりますが、カンタンに言うと、ゴジラ予知ネットワークを主催する主人公は、ゴジラの細胞から細胞の復元と修復を行う形成体を発見し、オルガナイザーG1と名づけます。
はたまた、ある科学者は海底から正体不明の岩塊(実はUFO)を引きあげます。そこからエイリアンが現れて地球を侵略しようとし、そのエイリアンはオルガナイザーG1によって長い時間で失った肉体を取り戻そうとします。エイリアンはオルガナイザーG1を吸収するが、制御できず怪獣化、ゴジラと対決。ゴジラが勝利。ラスト、ゴジラが街を火の海にしている光景でエンドロール。
ざっくり書くと見も蓋もないですが、テーマや描きたいものが何なのかよく分からない作品でした。
でも、当時1999年なので世紀末、UFOなどで未知の恐怖をテーマにしたかったんでしょうかね。
登場人物の描き方が不可解、感情移入できず
挙げればたくさんあるのですが、特にこの2つ。
阿部寛さん演じる片桐が、喋り方がオーバーで不自然なのですが、極めつけが、ゴジラが目の前に来たときに逃げずに「ゴジラー!」と言って死ぬのが理解不能でした。
何度も言っていますが、この登場人物がどういう人物で、どういう背景を持ったキャラなのか作中で全然伝わってこず、そしてこのシーンで何を描きたいのか私には分かりませんでした…。
そして更に、ラストでは篠田役の村田雄浩さんのセリフ「ゴジラは俺たちの中にいるんだ」。
…なんでしょう、この映画はテーマとして何を言いたいか、登場人物が何をしたいのかもよく分からないまま進んでいき、ラストの突然のこのセリフ。ぽかーんという感じでしたw
正にスペゴジの「宇宙が汚され続けていくなら、いつ第二のスペースゴジラが現れるかも分からない」を彷彿とさせる破壊力あるセリフでした><
※「ゴジラは俺たちの中にいるんだ」というセリフは、一応科学の警鐘・恐怖のような意味合いで(もう忘れましたが)、オルガナイザーの細胞的な意味とは関係ありません、多分。
俳優の演技について
棒演技なんですよね…。おそらく演技指導の問題だったり、俳優の方は脚本や台本読んでもストーリーや登場人物の背景が掴めなかったので、結果演技がそうなってしまったのではないかと気がしますが・・・どうなんでしょう。
ゴジラの存在意義が不明
ゴジラのテーマといえば「放射能や科学の奢り」といったものがありますが、今作は薄っぺらく感じました。ゴジラの細胞が治癒能力として医療にも使えるかもしれないと言いますが、この辺りの設定もVSビオランテなどで既にやっていることで新しさもないなぁと。
また、敵としてエイリアンが出てくるのですが、昔からイメージされているクラゲのような火星人のデザインなんですよね…。…いえ、このデザイン自体が良い悪い以前に、そのデザインに至るまでのプロセス、コンセプト、世界観、シナリオ、説得力諸々が視聴者に伝わらないことに問題があるんじゃないかなぁと思いました…。
細々気になったところ
演出やテンポが悪く、盛り上がりに欠け、無駄なシーンが多いと思いました・・・。
ところどころ有名な役者・タレントの方がチョイ役で出ますが、それもちょっとワザとらしく寒いなぁと感じてしまいました…。
CGに関しては今見るとキツイ部分がありますが、そればかりは1999年作品なので仕方がないと思っています。
ゴジラのデザインについて
今回のゴジラは新規デザインです。
黒目パッチリで、フォルムはスマート、背びれは大きくトゲトゲしいデザインになっていますね。
BGMについて
担当は服部隆之さん。VSスペースゴジラと同様です。
ドラマなど素晴らしい作曲をされていて、今作はスペゴジより重い音楽になっていますが、それでも「うーん…」といった感じでした…。
また、中盤、ゴジラが東京に上陸する際に伊福部先生のゴジラのテーマが流れますが、今作ではとってつけた感があり、マッチしているようには感じませんでしたねぇ…。
良かったところ
ゴジラの熱線描写がただの光線を吐くだけでなく、まず炎のようなCG描写が良いと思いました。
総評・まとめ
かなり辛口になってしまいましたが、それもゴジラ愛があってこそです……!
個人的にオススメするには厳しい作品ですね…。
でもシリーズ全部見たい人や、逆に怖いもの見たさならどうぞ…!
次記事
→「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」感想。固定観念に縛られない意欲作で、ノリは平成ウルトラマン。