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【ネタバレあり】ドラマ「失恋ショコラティエ」感想。屈折こそが魅力の作品。

ドラマ「失恋ショコラティエ」感想、最終回まで見ての感想(ネタバレあり)。

失恋をテーマにしていて各登場人物の失恋を描いていて、各登場人物も魅力があり面白かったです。

紗絵子を演じる石原さとみさんの可愛さは反則的で、天然、小悪魔っぷりは腹立たしい思いもありつつも、男からすればやはり「可愛いは正義」なのかと思うところもw

紗絵子は序盤、その天然、小悪魔言動にイラッと来る部分もあるのですが、中盤から旦那との夫婦生活のやり取りを経て、後半では何を考えているかが発言するようなり、ただのアホではないことが分かりますし、紗絵子ならではの考えを持ち、そしてポジティブなところが魅力的。

最初は敵対派していたショコラヴィの店員も独自の紗絵子理論により徐々に陥落していくのも面白かったです。

井上薫子を演じる水川あさみさんが良い演技、キャラしてると思いました。紗絵子との対比として、ネガティブなところがあり、最終的に紗絵子と仲良くなり、自分の嫌なところを見つめ、素直、ポジティブになるところが良かったですね。

1. 紗絵子というキャラクターの魅力


出典:http://getbeauty.jp/ , http://matome.naver.jp/ , https://www.youtube.com/

また、紗絵子ワールドも面白く、1話冒頭では、「爽太とエッチはしていないから二股ではない」というのが、紗絵子の不思議ちゃんな紗絵子理論であり、今でこそ言うゲス女ですw

これは「普通」の社会常識では考えられないこともありますが、そもそも「普通」とは何なのかと思ってしまいます。

というのは社会は、例えば「こういった関係が恋人である」と常識で作られてしまっています。
別に恋人の関係ではなく、他にも秩序を維持するために法律や常識、暗黙の了解が生まれているわけですが、そもそも考えてみると「普通」や「世界」というものは各人によって異っていると思います。

そう考えると、この紗絵子理論は固定観念に囚われてしまっている気付きとしてポジティブに私は感じたのでしたw

※だから人に迷惑をかけても良い、不倫肯定というわけではないので念のためw そして紗絵子の場合は人に迷惑をかけていますがw

物語前半は紗絵子の描き方も不思議ちゃん、変わったコ、おかしなコとも見えるのですが、後半ショコラビ店員を懐柔していく様を見ると、実は間違った固定観念や常識に囚われてしまっているのは私たちなんじゃないかと錯覚を覚えてしまいます。

紗絵子の超絶理論もありますが、薫子さんが「実はこの人、すごく頭が良いのでは」とのくだりもありますw
校閲ガール1話感想にも書きましたが、バカと天才は紙一重、天才は常識に振り回されず、変人が多いというようなことを書きましたが、それに通じる部分を感じました。

ただ、作中ラストで紗絵子は、現実を受け入れる選択をします。
社会通念上、不倫は許されませんし、子供ができたという現実がある手前、そのまま不倫の逃避行生活はできません。

爽太とはその子供と一緒に3人で暮らそうとも言いますが、結局各人が自分を見つめ直したり、現実を受け入れ、その選択はなくなります。

物語として爽太と紗絵子がラストでくっつけば一見ハッピーエンドとも言えるのですが、爽太も紗絵子を手に入れてしまったことで情念がなくなってチョコを作れなくなっていたり、紗絵子もこれまで破天荒で爽太を振り回してばかりということを考えると、結局くっつかなかったのは良かったと思いますし、物語を安直にしていなく深みも与えていて、そしてタイトル通り、失恋をテーマにした作品として一貫しているのが良かったです。

ただ個人的にですが、紗絵子が現実を受け入れてしまうというのは、(人に迷惑をかけていましたが)紗絵子の個性や天才振りを殺して社会、現実を受け入れる、社会の枠にはまってしまったことになり、ちょっと寂しいと感じる部分もありました…w

とは言え、フィクションではありますし、他人だからという点で見れば面白いでしょうけど、実際リアルで接したら嫌なコでしょうけどねw

2. ストーリーの面白さ

メインストーリーもある意味面白く、失恋したことで見返す(失恋した相手を諦めきれなく、その相手に美味しいチョコを食べてもらいたい。結局現実を見ていない、自分と向かい合っていない、失恋を受け入れていない)ということで、物語が展開しますが、実は爽太と紗絵子の二人の恋愛関係自体は既に1話冒頭で完結しているという。
再会した段階でも紗絵子はもう結婚していますし。

挫折を経験した際は、そのネガティブな力が人を成長させる機会にもなり、爽太はパリで修業、見事自分のお店をオープンするということにもなります。
しかし、結局それは失恋を認められなく、紗絵子を振り向かせたいという負の力であり、後半で念願の紗絵子と一緒にいられるようになったら、美味しいチョコを作れなくなったというのが、実は本当の意味での自己の成長、昇華にはなっていなかったというのが分かります。

物語ラストでそれにようやく気付く、というのが遅すぎではありますが、それこそがこの作品のテーマですのでよく出来ていて面白かったです。

とは言え、爽太が紗絵子からのインスピレーションによって絶賛されるチョコを生み出せていたということで、もし出会いや付き合うタイミングが違い、最初の段階から二人上手く付き合うタイミングが良かったら双方幸せだったんでしょうね(作中紗絵子が爽太にそのような内容の文面のメールを送ろうとしますが)。

ただ、それで完結してしまうと物語としては面白くないですし、この屈折した物語こそがこの作品の魅力でもありますね。

3. 理想の結婚相手という日本社会の風刺


出典:https://www.youtube.com/

他、興味深かったのが、今の日本社会の風刺でもあるような紗絵子旦那やその親の存在です。

高収入の男性と結婚することが幸せという昔からの美徳としてあり、だからと言ってそれが当人にとって本当に幸せなのか、という部分です。

社会やメディアが作り上げた幸せや、両親や友人が言う幸せと実際の自分が感じる幸せは違うと思います。

また、旦那は独占欲と支配欲が強く、DVやモラルハラスメントが日常的なようで、普通なら離婚するんじゃないか?と思います(実際旦那は一度離婚しています)。

作中中盤では、そうしたやり取りから紗絵子が離婚を決意して爽太とくっつくような展開も見せます。
しかし旦那も紗絵子が提案する猫を飼っても良い、と言うことから旦那もそうした完全に嫌なキャラではないことが描かれています。

そしてそうした中、ショコラヴィで逃避行をしていた紗絵子が旦那の子を妊娠と分かったことから、その旦那とやっていくことを選ぶ、ということが現実的でありますが、ちょっと可哀想にも見えました。

紗絵子や旦那やその親の辺りについては、まさに以下のブログで言っていることが同感であり、そして鋭い考察があってなるほどなぁと思いました。

5話では、夫に理不尽なことを言われたサエコが実家にて「あんな扱いされるくらいなら外で働きたいよ」と母親に愚痴をこぼすシーンがあるのですが、「何言ってんの。だいたい旦那の反対を押し切ってまでする価値のある仕事があんたにできんの?」「吉岡さんはいい旦那さんだと思うわよ。大手出版社の副編集長でお姑さんはもう亡くなって、お舅さんはお兄さん夫婦が引き取ってくださってて。そんな最高の旦那さんが、ご機嫌よくいられるくらい振る舞うくらい何よ。それこそあんたの仕事でしょ」と突き放すシーンがあるのです。

これ、私からするとひどいというか、ある種の抑圧というか、呪いともいえる言葉にも聞こえるんですよ。このセリフの裏を返せば「男性に好かれる女性は弱さが必要」「あんたには価値のある仕事なんてできない」「地位や経済力があればそれだけでいい夫」「長男以外で姑舅の問題もないなんて最高」「夫に何をされても機嫌を取るのが妻の仕事」ということだと思うんですよ。
たった数分のシーンですが、この母親のセリフを聞くだけで、サエコというキャラクターが作られたのは間違いなくこの環境なんだと感じられました。

ブログ:https://note.mu/yugami/n/n9a33c308da7b

つまり、紗絵子はそうしたあざとい女の生き方をするように作られてしまったと。

とは言え、作中ラストでは旦那との幸せなシーンがあったのは救いでしたね
(実際はドラマでは見えない部分で色々問題ありそうだし、それはリアルの夫婦生活でも一緒でしょうけど)。

自分はこのドラマはリアルタイムで見ていなく、色んな方の感想見ていると、旦那が嫌いなどの女性意見を多く見る気がするけど、旦那さん演じる眞島秀和さんがちょっと可哀想w
でもそれは視聴者に嫌いと思わせる名演技をしていたというわけなんですよねw

4. 印象的な音楽

テクノを主体とした曲が多く、ピアノによる切なさの曲など、印象的な良曲が多いですね。

 

MarbleやSweet Little Liesのポップな曲はキュンキュンしちゃいますよね♥
薫子さん「キモッ」

ともあれ、面白いドラマでした。

 

 

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